なんだかショボイ今年の全米文学賞の行方は?ーNational Book Award nominees this year aren’t as luminous as recent years’


毎年この時期に発表されるNational Award(全米図書賞)。日本で言えば、芥川賞や直木賞のようなもの。木曜日夜の発表に先駆けて、候補作品の著者を一堂に招いてのサイン会が、ユニオンスクエアのバーンズ&ノーブルで行われた。ここ数年、毎年のように覗いているこの集まりだが、今年は何だかとってもショボイ。集まった人も少ない。そりゃそうだよね。最終候補作品リストを見たときの反応が「え?誰、これ?」「まだこの人、新人じゃない」「あれ?○○が入っていないなー」だもんね。

去年は、オプラ騒動のまっただ中にいたジョナサン・フランゼン(ちなみにそろそろ日本語訳が刊行される“The Corrections”)が下馬評通り、受賞したし、その前の年は、ベテランのスーザン・ソンタグがノミネートされていて、予測もできたのだが、今年はそれが全然、読めない。ちなみに各部門の候補作品を挙げてみよう。 

FICTION

Mark Costello, “Big If” (W.W. Norton & Company)
Julia Glass, “Three Junes” (Pantheon Books)
Adam Haslett, “You Are Not a Stranger Here” (Nan A. Talese/Doubleday)
Martha McPhee, “Gorgeous Lies” (Harcourt, Inc.)
Brad Watson, “The Heaven of Mercury” (W.W. Norton & Company)

NONFICTION

Robert Caro, “Master of the Senate: The Years of Lyndon Johnson” (Alfred A. Knopf)
Devra Davis, “When Smoke Ran Like Water: Tales of Environmental Deception and the Battle Against Pollution” (Pantheon Books)
Atul Gawande, “Complications: A Surgeon’s Notes on an Imperfect Science” (Metropolitan Books/Henry Holt & Co.)
Elizabeth Gilbert, “The Last American Man” (Viking Penguin)
Steve Olson, “Mapping Human History: Discovering the Past Through Our Genes” (Houghton Mifflin Company)

この他にも詩歌と児童文学の部門があるのだが、フィクション、ノンフィクションでもいわゆる大物作家は、相変わらずリンドン・ジョンソン元大統領の評伝を書き続けているロバート・カロぐらい。版元を見渡してみても、いつもなら候補作品を独占する勢いのクノッフやファラー・ストラウス&ジルーの影が薄い。今年の受賞式に向けて今ひとつ盛り上がりがないのも、この両社が力を入れて宣伝していなかったから、というのも一理ありそうだ。・・・ということで、誰が受賞するのかも、私には全く予想がつきましぇん。

これはアメリカ文学の斜陽を意味するのだろうか?—なんてシリアスに考えてみたが、同じ新人でも「Lovely Bones」のアリス・シーボルドのようにデビュー作が書評でも認められ、ベストセラーになった作品もあるし、私がイチ押しするジョナサン・サフラン・フォアーのように、将来フィリップ・ロスやジョン・アップダイクのような巨匠になる素質を感じさせる新人も出た年だった。それとも、私が尽く注目作品をハズしていたとか? う〜ん。

ま、受賞作品が発表されたところで改めて考えてみることにします。

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ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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