8年リサーチして書いた大作「Middlesex」はユージェニディスの会心作か?ーEugenides flies into New York after spending eight long years to write “Middlesex”

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8年リサーチして書いた大作「Middlesex」はユージェニディスの会心作か?ーEugenides flies into New York after spending eight long years to write “Middlesex”Books and the City

ジェフリー・ユージェニディスのファン層、というイメージが全然湧かなかったので、チェルシーのバーンズ&ノーブルで行われた彼の朗読会を覗いてみたくなった。フランシス・コッポラ監督の娘、ソフィア(役者としても大根だし、映画監督としての才能があるとも思えないので、素直に親の七光りでモデル業だけに専念してればいいのにね)が前作にあたる「Virgin Suicides」を映画化したので、少しは一般の人にも名前が知られるようになったけれど、評価にいまいち知名度がついていっていない印象があったからだ。

会場に集まった人は30代を中心にした、ごくごく普通の人々。ユージェニディスは、一番大きなスターバックスのカプチーノを片手に「ごめんねー。さっきドイツからの飛行機を降りたところで、時差ボケで死にそうなんだ。こんな状態で朗読できるかな?」と申し訳なさそうに現れた。なんでも、最近は家族とベルリンに住んでいるとか。んー、でも私の知る限りでは、彼はギリシャ系とアイルランド系のハーフ。

生まれ育ちはずっとミシガン州デトロイトで、彼の作品にも「デトロイト」という土地の持つ歴史が陰を落としている。つまり、一時期は「車」という一番アメリカらしい製品を送り出して栄えてきた土地として、またその自動車産業に翳りが見え、日本車が進出した時期には「ジャパン・バッシング」の中心地として、そして今も高い失業率や人種問題に頭を痛める黄昏の地として、デトロイトという地名には特別な響きがある。

新作「Middlesex」も舞台はミシガン州、両性具有の女の子が主人公。結局、男性として成長して回想録を書いている、という筋立てになっている。女の子の体なのに、心は男の子で、彼女?の目を通して同世代の多感な年頃の子たちの青春が描かれている。(つまり、ここまでしか読んでいないのだけれど。)

そして物語は、主人公が晩年をベルリンで過ごすことになっている。もちろん、自分が今住んでいて書きやすいということもあるだろうが、ユージェニディスはラストの舞台をどこに持ってくるか、悩んだそうだ。その点、ベルリンは元々2つに分けられていたものが、壁の崩落で再び一つになった場所だから、自分の中の両方の性と折り合いをつける主人公のアイデンティティーを象徴している、とも言える。

「ベルリンからの飛行機の中にね、アイルランド人のグループが乗っていて、どうも往年のロックバンドって感じなんだ。僕が朗読会でどこを読もうかなと本をめくっていたら、その中の一人が気づいて、声をかけてきたんだ。それで結局バンド全員と自己紹介したんだけど、名前を聞いてもピンと来なかったんだ。でも、最後の一人が『僕がボノです』っていったとたん、バンド名がわかって、『あっそっか〜』って思ったんだ。サングラスをかけてなかったから、名乗るまでU2のボノだってわかんなかったよ。彼は家族を連れてプリンスのコンサートに行くんだってさ。著者ツアーをしていると、こういう面白いことがあるからやめられないんだ」

ま、こんな風に淡々として面白い人でした。この後の質疑応答で、「この本を書いたことで、両性具有の人から抗議はなかったんですか?」とか「昔、リック・ムーディーとルームメートだったっていうのは、ホントですか?」「影響を受けた作家や本は何ですか?」などなど、質問責めに会っていたユージェニディス。「むしろ、よく書いてくれたと応援するメールをもらいました」「それはホント。サンフランシスコで半年ほど一緒に暮らしていました。二人ともまだ売れない物書きだったから。でも彼の方が先に東海岸が恋しくなって帰っていったけどね」「僕は7年ぐらいラテン語を勉強していたからヴァージルとか、ギリシャ・ローマ神話はよく読んだな。特に神話にはストーリーのヒントになる泥沼の人間関係でぐちゃぐちゃだもんね。近親相姦も含めて。ハハハ。」とこれまた丁寧に返事をしていました。

written by Lingual

ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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