London


イギリスにもごく最近までは再販制があって、本はディスカウントされなかったわけだけど、1997年に法律が変わって今やどの出版社もあの手この手を尽くしてのマーケティング展開を余儀なくされているのが実状だ。やたら宣伝費がかかることになって、イギリスの版元はどこも苦労しているわけだが、これは日本の出版界への警鐘と受け取ってもいいかもしれない。(断っておくけど、だから再販制に反対、というのではない。逆にいつかは対峙しなければならないものとして、覚悟しておいたほうがいいということ。)日本やアメリカと比べてみて感じるのは、イギリスでは「本の値段が高い」ということだ。いくらポンドが強いからとはいえ、感覚的には日本の2倍。
チェアリングクロス・ロードは、ピカデリーサーカスから、石畳のシャフツベリー街を通り抜けたLeicester Square(写真右)か、トッテナムコートを南下してオックスフォード通りを渡ったところにある。昔から書店街、レコード店街として知られている。
ただし、書店街だからといって神保町のすずらん通りをイメージしていると見事に裏切られる。いっちゃん小綺麗でのさばっているのがアメリカから進出してきた「ボーダーズ」で他はちらほらと点在している程度。(何年か前、ボーダーズは日本にも店を出すのではと言われていたんだけど、その計画はどうなっちゃったのかな? 再販制が続く限り、ディスカウント攻勢をかけるわけにもいかないから、出店してもメリット無しと判断されたのだろうか?)
そんなわけで、「ブックエンズ」(新刊、108 Charing Cross Rd.)「ブックケース」(過剰在庫の古本中心、138-140 Charing Cross Rd. 020-7836-8391)「ラブジョイズ」(中古中心、99 Charing Cross Rd. 020-7240-9604)と、そこそこ個性的な書店が並ぶ中で、前から行ってみたかった「フォイルズ」へ。ここはロンドン屈指のインディペンデント書店ということで、「ボーダーズなんかにゃ負けねーぜ、オラ」という意気込みが伝わってくる。
FOYLES
113-119 Charing Cross Rd., , WC2H 0EB
020-7437-5660
www.foyles.co.uk
Mon-Sat 9:30 a.m.-8:00 p.m.
Sun & Hol 12:00 N-6:00 p.m.

実はここで欲しい本を見つけたのだった。ロンドン在住のアイルランド系の人が、自分探しの旅でケルト文化にまつわるアイルランドの片田舎をまわる旅行記。ビル・ブライソン並みのユーモアたっぷりの描写だし、同じケルト系っぽい名字を持つ者としては、そのうち行ってみたい類の旅だったんでガイド代わりにもなるかも、と思っていたんだけど、いかんせん、やたら分厚くて重そうなハードカバーだったし、また後で来たときに買えばいいや、と思って店を出たのがいけなかった。翌日から始まったロンドン・ブックフェアで何百という本についてあれこれと話を聞いてしまったため、この本のタイトルも著者名も思い出せなくなってしまったからだ。さらに最悪なことにフォイルズ以外の本屋には新刊コーナーに並んでないし、帰ってからアマゾンUKで検索してもでてこない。そんなわけで幻の1冊に。やっぱり本って一期一会の出会いなんだよね。あ〜あ、買っておけば良かった。(その後の調べで、THE SKY IS FALLING ON OUR HEADS: A Journey to the Bottom of the Celtic Fringe/Rob Pennという本と判明。アマゾンUKから届くのを楽しみに待っている。)

個人的にはイギリスの本の表紙デザインの方が日本人の美的感覚に合っている気がする。アメリカの本のジャケットデザインは、人目を引こうとするあまりか、大胆かつハデハデで、かえって手に取るのが憚られるようなものが多い。ポール・オースターと村上春樹の本が並んでいるのを見てそれを確信した。

今回は本屋の住所や連絡先、あるいは近所のカフェを紹介できなくて申し訳ない。なかなか初めて行った土地でそこまで網羅できなかった。また来年、行けるかな?

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ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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