栄えあるイギリスのブッカー賞をアメリカが買おうって話ーAmerican money to buy the oh-so-British Booker Prize?


ミッキーマウス、リーバイス、ハリウッド、マクドナルド、スターバックス…アメリカ文化の産物が世界中に広がっているのを「文化帝国主義」と呼んで嫌う人は少なくない。特にイギリスではその傾向が強いかもしれない。元々は自分の国から逃げていった人間が作りあげた経済大国がうらやましいのが半分、やーね、イギリス社会についていけなかったお下品な人たちの国よ、と蔑むのが半分、ってとこか。

たとえ英語で書かれたものでも、アメリカ人作家が書いた作品しか評価しない全米図書賞やピューリッツァー賞、それに対抗するようにアメリカ人を対象外にしてきたブッカー賞。下世話な話は嫌いだが、賞金は全米図書賞が1万ドル(約125万円)、ピューリッツァー賞が 5000ドル(約75万円)とまあ、比較的お安いのに対し、ブッカー賞が2万ポンド(約365万円)。

ブッカー賞はもともと食品会社がスポンサーになっていたのだが、今回Man Groupという投資会社がスポンサーに加わって賞金が一気に5万ポンド(約910万円)に跳ね上がるという。このマン・グループ(「人間団体」—なんて怪しいネーミングだ)の実体といえば、要するにアメリカのお金持ちのおカネを預かって増やしたり、有意義なことに使います、って集団。

おまけにブッカー賞の審査委員会のメンバーが2004年までにはイギリス、アイルランド、イギリス連邦諸国(カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、インド、スリランカ等)だけでなく、アメリカの作家も対象に入れるなどと漏らしたものだから、英米論争に火がついてしまった。

となると、審査員はブッカー賞候補として送られてくる120〜130册の本に加えて、主だったアメリカ人作家の作品まで読まなければならないことになるのか。イギリスのイアン・マキューアンやマーティン・エイミスなんぞ、絶頂期のフィリップ・ロスにはかなわない、とまで言い放った審査員もいるようだが、これはこれで面白い論争になるだろう。ちなみにサルマン・ラシュディーやアルンダティ・ロイ、J・M・クッツェーら歴代の受賞者は、だったら「アメリカ文学」という新しい部門を設けたらどうか、と言っているそうだ。

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ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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