この夏、イチ押しのビーチブックはどれ?ーSummer 2004 recommendations


この夏、アメリカ人が読んでいるのはクリントン元大統領のメモワール「My Life」ばかりではありません。まずは、「ダ・ヴィンチ・コード」をすでに読み終えて、同じような本を待ち望んでいた人たちのお気に入りが「The Rulf of Four」(Dial Press)。実在する15世紀のイタリアの本「ポリフィーロ狂恋夢」を巡るウンチクが語られ、プリンストンの大学生4人組がローマ帝国の秘宝の隠し場所を読み解いていく話です。著者の二人組はまだ若く、文章もダン・ブラウンよりもう少し文芸寄りで、ウンべルト・エーコの「薔薇の名前」を彷彿とさせ、インテリ心をくすぐります。

ジョン・クラカウアーの「Into Thin Air」やセバスチャン・ユンガーの「The Perfect Storm」といったノンフィクションが好きな人には「Shadow Divers」(Random House)がお薦め。第二次世界大戦のさなかに大西洋に沈んだ潜水艦の謎に挑戦する、ダイバー二人組の冒険物語です。終戦直前にジブラルタル海峡で沈没したと思われていたドイツ軍のUボートが、実はニュージャージー沖に沈んでいたことが最初に発見されたのは、今から13年前。その正体を突き止めるのに、ダイバー仲間を失い、家庭さえも崩壊してしまいながらも突き進む、男たちの戦いが胸を打ちます。

イラク戦争や秋の大統領選のことが頭から離れない人には「Imperial Hubris」(Brassey’s Ink)をどうぞ。著者は匿名となっていますが、どうやら正体は20年以上も政府機密にかかわってきたお役人のようです。彼の言い分は「イスラムのテロリストを甘く見てはいけない、アメリカ人が自分たちは世界の自由のために戦っているのだと考えているようでは、いつまでたってもテロはなくならない」と忠告しています。

一方、個人的なお薦めの一冊はトニー・ヘンドラの「Father Joe」(Random House)でしょうか? 日本では団塊の世代にあたるダメ親父が、生涯を通じて1人の神父と出会ったことで救われるメモワールが、たっぷり過ぎるほどユーモアを交えて語られ、思わず泣き笑いしてしまう不思議な魅力を持った一冊です。

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ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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