意外に長期的な展望で市場に出てくるアメリカの新刊ーIt takes a year-long preparation to sell a new title in the U.S. market


アメリカの書籍業界では1年を2〜3のシーズンに分けて、1年ぐらい先の刊行予定日を目安に動いています。つまりどこの出版社でも、今の時点で 2005年の春ぐらいまで、いつどの本が出るかが既に決まっていて、そろそろこっちの本の原稿が入稿されて、あの本の新聞広告を出す準備をいつから始めて、という具合にかなり先のことまで細かく決まっているのです。

よくビジネスでは、アメリカの企業が4半期ごとの収支で成果を出すことを求められる短期型で、日本の企業は何年も先のことを見越しての事業計画を立てる長期型だと言われますが、書籍に限っては逆に、日本の出版社の方が行き当たりばったり的で、アメリカの方が計画性があると言えるでしょう。

というのも、そうしないとアメリカでは本が売れないシステムになっているからです。とりあえず本を作ってみて、取次業者に頼んで店先に置いてもらう、というのが日本式で、カタログを作り、書店側から前注文を取って、刊行前に書評の段取りをつけ、売る準備をしておかないとアメリカで本を売ることはできません。日本の作品をアメリカの市場で出そうとする試みがなかなか成功しないのも、このことが一因となっています。

それではなかなか世の中のトレンドの波に乗った本が出せないではないか、すぐに出したい本はどうするのだ、という質問になりそうですが、もちろん、超特急で作られる「即席本」もあります。一番早くて所要期間3ヶ月。Crash publicationと呼ばれるこの手の本には、救出後から半年後のベテランズ・デーに合わせて刊行された女性兵士ジェシカ・リンチの告白記、人気TV番組の最終回に間に合わせた不動産王ドナルド・トランプの「金持ちになる方法」、ゲイの5人組が出演するメイク・オーバー番組のタイアップ本などがありますが、いかんせん、急いだところでその本が売れるかどうかは神のみぞ知る。骨折り損のくたびれ儲け、になる本も出てくるわけです。

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ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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