二十歳そこそこの若い芥川作家誕生に思うことーYoung and Akutagawa-ed, two female writers face pressure


今年の芥川受賞者が19歳と20歳の若い女性2人だということで話題になりました。綿矢りさ氏の「蹴りたい背中」も金原ひとみ氏の「蛇にピアス」も、作品としては世界が狭く、奥行きもあまり感じられず、(書き手が未熟であるのとは別に、今の日本で好まれる本全体の傾向なのかもしれませんが)その将来性に1票を投じたということでしょう。

そんなこともあって、一番若いナショナル・ブック・アワード(全米図書賞)受賞者は誰か?と聞かれて即答できず、全米図書協会に問い合わせてみましたが「年齢は特に記録していない」という素っ気ない(実にアメリカらしい)返事。新人賞を設けていた期間は除くとして、フィクション部門を20歳そこそこで受賞した人はいないはず、とは思うものの、やむを得ず受賞年と生年月日をつぶさに調べた結果、フィリップ・ロスが「さよならコロンバス」で最初に受賞したのが20代後半で、他は皆早くても30歳を超えてからの受賞になっていました。

フィリップ・ロスといえば今やサウル・ベローや・ジョン・アップダイクと並ぶ米文学の大御所、最新作の「The Human Stain」でもその底力を感じさせてくれました。歴代の受賞者の名前を見ていても、押しも押されぬフォークナーやギャディスの名前もある一方、E・アニー・プルーやアリス・マクダーモットのように「そう言えばこの人、最近何を書いたんだっけ?」と思わせる人たちも。

下積み時代が長くて、書いても書いても泣かず飛ばずで書き続けるのも、最初から賞をもらったりベストセラーになったりして多大な期待と重圧をかけられて書き続けるというのも、どちらも苦しいのが作家人生。若くして芥川賞作家という重い看板を背負わされ、ついでに低迷する出版界に光をもたらすアイドルのような期待もされているこの2人、おめでとうというよりご苦労様、という気になります。

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ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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