アメリカで本を出したいのならーIf you want to publish your book in the U.S. market

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このところ「是非この本を英語にしてアメリカの人にも読んでもらえるようにしたい」という相談をいくつも持ちかけられるのですが、なかなか実現には程遠そうな企画ばかりで、協力しようにも色のいい返事がなかなかできないでいます。

一番のネックになっているのが日米の流通形態の違い。日本の書籍卸業は東販・日販という2大取次が牛耳っていて、とりあえずこの取次に動いてもらえれば、それなりに全国の書店に発送される(売れるかどうかは全く別問題ですが)システムになっていますが、アメリカはご存じのように本屋ではない店が書籍を売るのも自由だし、仕入れる時も出版社から直接オーダーできるし、取次もある一方、本を出す側は刊行前からカタログを作ったり、マーケティングをするなど、本を売る努力をしないとまったく相手にされません。

日本では、本は「文化」であるという意識が強いせいか、儲けのことを気にしたりするのは編集者としてあるまじきことという風潮さえありますが、アメリカでは本も立派な「娯楽商品」。ゲームソフトや音楽CDに負けないようにどんどん消費者にアピールして当たり前なのです。

その辺の意識の差が現れるのでしょうか、アメリカで本を出したいと言ってくる方たちも、売り上げよりもまず話題になればいいとか、とりあえず英語版を店に置ければいい、という程度の甘い期待をもった企画が多いように感じます。中には明らかに日本で話題になることを期待して英語版を作りたい、というのもあります。音楽家がハク付けのためにカーネギーホールを借り切って公演するとか、アーチストが「ニューヨークデビュー」という経歴のために自腹を切ってギャラリーで個展を開くのと同じような発想ですね。本の場合、そういうことをしても返品の山という形でしっぺ返しが来るだけで誰の得にもなりません。

本当にアメリカのマーケットで通用するような内容の本ならば、必要なのは企画書1枚と熱意だけなのですが。

written by Lingual

ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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