宇多田ヒカルが翻訳した「エミリー・ザ・ストレンジ」に誤訳があったからって何なの?ーBubbly pop idol Hikaru Utada and doomsayer Emily are strange bedfellows


とあるスケートボードで使われ始め、西海岸を中心に人気に火がついた女の子のキャラクター「エミリー・ザ・ストレンジ」の本、Emily the Strange, by Cosmic Debris ( Chronicle Books, $12.95)を、歌手の宇多田ヒカルが翻訳するというので話題になっているようです。こっちでも若い人が集まるCD店などの店頭で、小物入れや財布などのエミリーグッズを見かけた人もいるかもしれません。4匹の黒猫に囲まれたおかっぱ頭の女の子のイラストで、色は赤と黒だけで描かれています。

絵本に添えられたストーリーでは、破天荒、根暗、わがまま、ちょっと破滅的な思考のエミリーですが、ある意味、その早熟な孤立感が思春期にさしかかった13歳の女の子らしくて、そこが共感を呼んでいる理由かもしれません。

ところがその日本版、とあるコラムで「誤訳が多い」と指摘され、また主人公の名前Emilyが最初「エメリー」となっていたりしたのを、オリジナルの出版社からクレームがついて急きょ「エミリー」に直して発売されたと聞きました。(Emilyは一般的な表記では「エミリー」ですが、ネイティブの発音だとムともメとも聞こえる微妙な線。)

確かに言葉遊びや脚韻もありますが、さりとてそんなに深い意味があるわけでもなく、使われている単語は中学1年で全部習いそうなものばかりですし、個人的には、こういうのはオリジナルの持つ雰囲気が伝われば多少の「妙訳」なり「超訳」でもいいんじゃないかと思いますが、バイリンガルとして知られる有名タレントが間違えたということで鬼の首でも取ったように取りざたされるのでしょう。

でも、こんな本が初版20万部などと聞くと、「洋書のススメ」の初心者向けコーナーの方が、もっと面白くて、簡単に読めて、中身のある本を紹介しているのになぁ、とまぁ、少しスネたくもなるわけです。

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ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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