2002年は大型新人デビューとカムバック作の年


2002年のアメリカ出版界は、大型新人のデビュー作のヒットと、長い間筆を断っていた大物作家が返り咲いた年と言えるでしょう。話題作を挙げてみます。

【新人賞】

The Lovely Bones by Alice Sebold
近所に住む男にレイプされ、殺された少女が天国から語りかけるという一風変わった設定の処女作が今年の一大ベストセラーに。14歳の少女の家族に対する思いと、彼女の死を受け止めようとしながらも葛藤する家族の行方が描かれていて心を打ちます。

Everything is Illuminated by Jonathan Safran Foer
かつて、ホロコーストから自分の祖父の命を救ったかも知れない女性の面影を追って、ロシアで自分探しの旅をする主人公。彼を案内するガイド役の青年が使う英語がひたすら可笑しい。

The Crimson Petal and the White by Michel Faber
堂々800ページのビクトリア王朝期の物語は、ロンドンの娼婦シュガーが、香水王ラッカムを利用して成り上がる話。幸せをつかもうと、もがき、心をすり減らしていく主人公の行く末が気にかかって読むのが止められない。

【カムバック賞】

Middlesex by Jeffery Eugenides
前作「Virgin Suicides」が映画化されて話題になりながら、しばらく音沙汰がなかったユージェニディスの新作は、両性具有の女性がその後、男性として人生を送るという筋書きで、多感な年頃が「ふたなり」としての視点から描かれている。

The little Friend by Donna Tartt
超大型新人ともてはやされたデビュー作「シークレット・ヒストリー」から10年。幼い頃に兄を失った少女が、彼の命を奪った犯人を突き止め、復讐を企てる。

Baudolino by Umberto Eco
『薔薇の名前』等の時代小説で定評のあるエーコの新作は、12世紀、イタリアの農民バルバロッサが口八丁で皇帝の息子になりすますという筋書き。真実とは何か、考えさせられる一冊。

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ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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