どのぐらい本を書かないと読者に忘れ去られる?


ジョン・グリシャムやパトリシア・コーンウェルのように、毎年新しい作品を発表して、コンスタントにファンを引きつけておく作家がいる一方で、読者がその存在すら忘れた頃に次作を発表する遅筆な作家もいます。

ジーン・アウルの『大地の子アイラ』を覚えていますか? ダリル・ハンナ主演で映画化されたのが1986年、そして今年12年ぶりに5作目の続編が出ました。ジェフリー・ユージェニデスの「The Virgin Suicides」はどうでしょう? 99年にフランシス・コッポラ監督の娘が映画化させましたが、原作は93年刊行、今月に9年かかって次作「Middlesex」を書き上げました。

他にもウンベルト・エーコも『薔薇の名前』で一躍名前が売れ、『前日島』以来、8年ぶりに新作「Baudolino」が刊行されます。日本では馴染みはないけれど、10年前にデビュー作『シークレット・ヒストリー』で一世を風靡したドナ・タートも「The Little Friend」という2作目が今月発表されます。彼女の場合、デビュー作の印税でずっと食べるのに困らなかった、ということもありそうですが。

出版社にとって作家の名前で本を売る場合、あまり間があいてしまっては話になりません。バンタム・ダブルデイのニタ・トーブリブ編集長は、時には「出し溜め」とも言うべき方法で、シリーズもののスリラーを刊行しています。つまり、作家が書き上げた原稿をすぐに発表しないで、いくつか溜まるまで辛抱強く待つのです。そして何巻か揃ったところで、1ヶ月に1冊の新作が書店に並ぶようにしむけたりするのです。

目まぐるしく物事が移りゆく時代、本もそうしないと読者の記憶のひだに埋もれてしまうのでしょう。となると、『コールド・マウンテン』のチャールズ・フレージャーや『ヒマラヤ杉に降る雪』のデイビッド・グターソンもあまり悠長なことは言ってられませんね。次回作を期待するファンレターを送った方がいいかも。

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ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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