アメリカ人読者にも人気のある村上春樹の秘密


村上春樹の短編集「神の子どもたちはみな踊る」の英訳「After the Quake」が話題になっています。NYタイムズ・ブックレビューに書評が載ったかと思えば、同じ週にタイムズの専属書評家ミチコ・カクタニ氏のコラムでも取り上げられていました。これは日本人作家初の快挙でしょう。全米各都市の地方紙にも書評が載っているようです。

日本でも「ノルウェーの森」が大ヒットしたのを覚えている人も多いでしょう。熱心なファンも大勢いますよね。彼の作品のどこが海外の読者にウケるのか、あるいは言葉を換えれば、どうして他の日本人作家の翻訳は売れないのか、いろいろと言われていますが、作品の内容とは別に、やはりアメリカ大手のクノッフが手がけているから、というのも原因の一つでしょう。

インプリント、というのは日本では馴染みのない言葉ですが、出版社内の出版社として独立し、独自のカラーを持っていて、アメリカの本好きの人に「クノッフ」と言えば、どういう作品を出しているのかタイトルが浮かぶほどのインパクトを持っているのです。

クノッフのイメージは、ハウンドドッグのロゴと文芸色の強いフィクション。ロバート・ゴットリーブら有名編集者に、表紙ならチップ・キッド。裏方である宣伝・広報も強力で「ウチがイチ押しする本ですよ」と売り込めば、取次も書店も大量注文を入れるほど。村上氏にも有能な文芸エージェントがついていて、後押しするわけです。

さて、アメリカで村上春樹のようになりたいと思ったら、とりあえず日本の出版社に英訳版を出してもらっても、こっちで売れることはまずありません。残念ながらアメリカ流のマーケティングをこなせる日本の出版社はないからです。それよりも、まずこっちのエージェントを探すことでしょうか。

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ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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