「ジュベナイル」のない日本のティーンエイジャーは何を読んでいる?
「ハリポタ」ブームも峠を越した頃、日本の出版社の人が児童書コーナーに積まれた「ハリー・ポッター」の本を見て驚いていました。日本でブームを支えていたのは主に大人だったからです。アメリカでは正確に言うならジュベナイル、10〜14歳の少年少女ファンに支えられたベストセラーだったのです。
もちろんベストセラーリストを独占していた頃はどこの書店でも他の本を押しのけて、入り口の前にうず高く平積みにされていたので、わからなかったのでしょう。大人も大勢読んでいたからあれだけの人気があったことは事実です。
日本にはないこの「ジュベナイル」という部門ですが、アメリカの出版界では確立されていて、全米図書賞にもフィクション、ノンフィクションの部と並んでジュベナイル部門が設けられています。作家も作品もきちんとカテゴリーとして評価されているということです。
となると、日本では10〜14歳の人たちは何を読んでいるのでしょうね。ジュニア文庫、と名のついたシリーズもありますが、少女漫画のテキスト版といった内容ですし、いきなり太宰だの漱石を読め、というのも酷な荒療治かもしれません。いわゆる日本のクラシックな文学作品には、一番多感な年頃の少女にとっては自己投影のできないストーリーが多すぎるでしょうから。
感受性が豊かで、集中力もあり、何でもどん欲に吸収できるティーンエイジャーの頃に本をたくさん読んでいたかいなかったかでその後の読書量も決まってくると思います。若者の活字離れを嘆く前に、本を読みたいという欲求に存分に答えてくれる書物を充実させるのが先決かも知れません。
アメリカの出版界も去年から経済全体の不況とともに売上げが落ちてきていますが、唯一伸びているカテゴリーがこのジュベナイルなのです。アメリカのプレティーンなんて一番本を読んでなさそうな印象ですが。
「ハリ・ポタ」で読書の楽しみに開眼した若者を捕まえておくべく、アメリカの出版社もジュベナイルに力を入れ始めています。ジョイス・キャロル・オーツも今度はジュベナイルを執筆すると言って話題になりました。日本では「時を駆ける少女」の筒井康隆あたりが有力候補でしょうか。









