不況で売れ行きダウン、なのにタイトル数はアメリカと同じ日本の本

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不況で売れ行きダウン、なのにタイトル数はアメリカと同じ日本の本Books and the City

海外にいると「日本の活字が恋しくなる」と言って、どん欲に読書を始める人がけっこういるようですね。友だち同士で回し読みをしたり、ネットでこまめにベストセラーをチェックしたり。そんなことがきっかけで日本にいたらあまり手を出さないようなジャンルの本を紐解く機会もあるようです。「このミス」に出ているような本しか読んだことがなかったのに、アメリカに来て山本周五郎にハマったとか、日本語でスティーブン・キングを読破していたような人が帰国した知人に譲り受けた太宰全集を読み直しているとか。

ということは、日本では反対に活字が氾濫しすぎてかえって人々の読書欲を殺いでいるということでしょうか? 大型書店や新古書店の出店と裏腹に、出版業界は5年も続けてマイナス成長となっているのです。確かに久しぶりに帰国してみると、電車内の吊り広告から、至る所で目に付く標語や看板の類いやら、携帯のメールやら、これでもかこれでもかと文字の情報が襲ってきて目眩がするような気がします。

アメリカで1年間に刊行される本のタイトル数は7万弱と言われていますが、実は人口がその約半分の日本でもほぼ同じぐらいの種類の本が上梓されています。それだけ選択の幅が広いのならいいのでしょうが、1冊売れると似たような本が次々に出されたり、話題に上ってはすぐに消えてしまう本があったり。

新刊書1冊あたりの平均的な値段で比べると、ずっとお安くなっているのが日本の本ですが、どうも自腹を切ってまで買いたい、読みたいと思わせる魅力のある本が少なくなっているような気がするのは私だけでしょうか? 売れ筋は図書館でチェックすればいいや、という程度の本で溢れ、絶版になったものや本屋で見つけにくい本を揃える、という図書館の本来の目的まで見失われてきています。出版界のマイナス成長は、インターネットの進出や活字離れという問題であるのと同時に、お金を払ってまで読みたいような面白い本が少ない、という読者の無言の抵抗でもあるのでしょう。

written by Lingual

ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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