ビル・クリントンの回想録の値段は15億円


ビル・クリントン元大統領が書く回想録に付けられた「アドバンス」のお値段が1200万ドル、約15億円というニュースに、出版界だけでなく、一般のマスコミが呆気にとられているようです。このアドバンスという制度が日本にはないのでピンとこないかもしれませんが、初版部数と売れ行きに見込んだ前払い金として著者に支払われ、もし本がポシャってたとえ1冊も売れなかったとしても返さなくてもいいお金なのです。今までで支払われた高額のアドバンス記録は94年、ローマ法王パウロ2世の自伝の850万ドルというものでしたが、法王の訪米に合わせて刊行されたにもかかわらず、残念ながらこちらはアメリカ国内だけでなくカトリック信者が多い国でも売れず、出版社は大打撃を受けました。悲しいかな、今も「リメインダー(売れ残り)」の棚で山積みになっているのを時折見かけます。

史上最高額というこの1200万ドルというお値段が高いのか、安いのかは蓋を開けてみないとわかりませんが、業界では誰もが口を揃えて赤字予報を出しています。単純に元を取るには国内で200-300万部のベストセラーにならないとダメだし、海外での出版を見込んで、翻訳権が入るといっても追いつかないのが現実的な見方でしょう。クリントンは、自らの公約を書き連ねた本を96年に出版していますが、こちらは18万部印刷したものの、実際に売れたのは3万部と言われています。

ちなみに奥方のヒラリー夫人もホワイトハウス時代を回想した自伝が2003年刊行を予定されています(800万ドルのアドバンスで契約)。バーバラ・ブッシュやナンシー・レーガンの本が夫の元大統領が出した本よりも売れている、という過去の実績もあります。

さて、このクリントンの自伝にはどういうタイトルが付くのでしょうか? 既にあちこちのウェブサイトでコンテストをやっているようですが、いちばん頻繁に出てくる言葉は「stain」で、これはモニカ・ルインスキーのドレスに付いた「シミ」と、下半身スキャンダルでホワイトハウスの歴史に「汚点」を残したクリントンの素行をかけているわけです。

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ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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