日本でも自分の人生を暴露する「メモワール」の時代到来

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日本でも自分の人生を暴露する「メモワール」の時代到来Books and the City

ここ数年の日本のベストセラーリストを見ていると、「メモワール」が目に付くようになってきました。メモワールといっても、企業や政界でトップにのし上がった人が自らの半生を振り返るような自伝ではなく、「少年H」から「プラトニック・ラブ」まで自分の過去を吐露する、いわゆる告白本です。今はまだ、芸能界などで活躍する有名人の作品が多いようですが、アメリカではこの手の読み物は5〜6年前にピークを迎えました。

セレブリティのみならず、それまで小説を書いていたれっきとした作家から無名の人までが、われ先にと競うように自らのショッキングな過去を活字で披露したものです。虐待、レイプ、精神病、不倫、近親相姦、薬物中毒、ありとあらゆるスキャンダルがクローゼットから陽の元に晒され、ようやく読む側も食傷気味になったのでしょうか、今は下火になっています。読者の方も、もう何を聞いても驚かないよ、ということのようです。

特に作家の場合、いったんメモワールを書いてしまうと、後が続かなくなることが多いようです。自分の過去をそのまま作品にしてしまうと、その後は何を書いてもインパクトが薄くなってしまいがちです。それに、作家とは自分の作品の中にどれだけ読者にわからないように自分が実際に体験した過去と想像の産物を織り込めるかで、技量が計れるという者もいます。

この「メモワール」現象が進みすぎると、懸念されるのが、犯罪者が事件のあらましを書く場合です。犯罪に手を染めてしまった少年の両親が手記を発表する、等というのは既に書かれているようです。これがエスカレートして獄中の犯人が事件について赤裸々に告白する、等という本がそのうち出てくるかも知れません。そうなった場合、印税は支払われるのか、裁判に影響はないのか、種々の問題が起こってくるでしょう。

アメリカでは、有罪判決を受けた者がその事件について本を書いた場合(本を書くこと自体は、犯罪者であっても言論の自由があるので問題はない)、被害者とその遺族が賠償金として、印税の支払いに対する権利を求めることができます。

written by Lingual

ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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