その指標として最も有名なのがNYタイムズ紙ベストセラーリストであることは言うまでもありません。毎週日曜版に付いてくる小冊子「ブックレビュー」の最後の数ページに載っています。NY以外の地域でもこの書評だけを定期購読することも可能です。日本で言えば朝日新聞の書評欄で取り上げられるより、さらにその影響力には計り知れないものがあります。主な大型書店チェーンやオンライン書店は、このリストに入った本なら 30-40%といった割引をし、目立つところに平積みされ、さらに他のマスコミにも取り上げられる、といった具合に確実に売れ行きに火がつき、増刷されれば「NYタイムズ・ベストセラーリスト入り」の文字が表紙に刷り込まれます。
このリストはどうやって、集計されているのでしょう? 実は、テレビの視聴率(ニールセン指標)と同じように、全米に散らばった書店が前もって選ばれており、その週何が売れたかを報告するのです。従って厳密に科学的な売り上げ部数の数字ではありません。アメリカでは書店以外の場所でも本を売ってもいいとされているので、純粋な部数、という点では、空港やスーパーマーケットのスタンドや、ブッククラブ、その他のディスカウント店で売れる「大衆小説」が圧倒的に多いのです。だから、全国の書店の数字だけを集めたベストセラーリストは多少、純文学作品に有利になると言われています。
となると、時おり、なんとかして意図的にこのリストに本を載せることはできないだろうか、と考える輩が現れるのも仕方ないのかも知れません。昨年も、某宗教団体/会員制セールス会社の社長が出した自伝を、宣伝責任者が7〜8万ドルという大枚を払って、全国各地の「ベストセラーリスト報告指定」を受けた書店に、合わせて2万冊近い注文を入れ、部数を増やそうとしました。ところが悪いことはできないもので、納入日を指定した大量注文に不審を抱いた書店が当局に通報、たちまちのうちにバレてしまいました。やはり、ベストセラーにしたかったら、いい本を書いて、宣伝に力を入れ、後は天を仰ぐしかないようです。
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