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ブックトーク

米英、文学賞の行方はベテラン女流作家に

先月、イギリスでブッカー賞、そしてアメリカでは全米図書賞と、今世紀を締めくくる2000年の文芸賞が発表された。今回ブッカー賞に輝いたのは今まで3度も最終候補作に残りながら受賞を逸してきたカナダ人女流作家、マーガレット・アトウッド。受賞作のBlind Assassinは新聞記事、SF小説、そして主人公の回想録を通し、ラストまで度重なるどんでん返しで息もつかせず、さすがとうならせるものを持っている意欲作。良家の長女として生まれながら、運命に翻弄されるしかなかった主人公アイリスの実は数奇な半生。The Robber BrideやCat’s Eyeに代表されるように、アトウッドの作品に登場する女性には、母性や女らしさといった決まり文句から想像できないぐらいのどこまでも深い「悪」が潜んでいるようで、かえって心地よい。原文ではイギリス英語でもない、アメリカ英語でもない言葉で「カナダ文学」を確立させている彼女の才能をしっかり感じさせる。

一方、全米図書賞の栄誉に輝いたのは、こちらもベテランのスーザン・ソンタグ。どちらかといえば切れ味の良いナイフのようなエッセイで知られる彼女、前作のThe Volcano Loverから8年振りの小説だが、こちらも負けず劣らずスケールの大きい本。舞台設定はアトウッドの作品をさらに遡り、19世紀にロシアの手を逃れてアメリカへ渡ってきたポーランド人女優マリーナがユートピア幻想に駆られた仲間と共にカリフォルニアでコミューンを結成する、というあらすじ。ソンタグはアメリカでは筋金入りのインテリとして崇められているが、(写真家アニー・レボヴィッツと愛人関係にあるという噂も含めて)私生活はかなり謎に包まれている人物なので、本の主人公と彼女自身がどこまでオーバーラップしているのか、今回の受賞でマスコミが引っぱり出して聞いてくれることを期待したい。

ふたりとも「女流作家」と片づけてしまわれるより、20世紀を代表する「文豪」として名を残すことになるだろう。両者とも最近の作品が翻訳されていないようなので、この受賞を期に日本の読者にも届けられるよう、出版社の考慮をお願いしたいところだ。

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