ゲイリー・シュタインガートの朗読会に行ってきた。彼はこの間のニューヨーカー誌が選ぶ「40歳以下のベスト20人の作家」の一人に選ばれたばっかり。今回のSuper Sad True Love Storyは3作目。読みかけだけど、傑作。笑いが止まらない。最後にちょっと泣かされそうな気もする。
れれ、今ググってみたら日本語版が全然出ていないではないか! なんたる手落ち(ごめんね、これ、差別用語だと言われても使うの止められない。実際に腕のない人に、この言葉をどう思うのか意見を聞いてみたい。)! クレストあたりに入っていて然るべきだろう。
デビュー作のThe Russian Debutante’s Handbookを読んだときも面白いと思ったけど、第2作のAbsurdistanは、ぎょっ!こんなこと書いて、プーチンの怒りでも買って暗殺されたらどーすんだよ、って一瞬心配するほど痛快だった。
彼の作風はSatire風刺、つまりゴーゴルから脈々と受け継がれてきたロシア風の、なんつーか登場人物の破天荒な行動や、そんなわけアリエッティな設定の中にも、ま、人間、そんなもんだよな、っていうペーソスがじわじわ、という感じ。
そして最新作のSuper Sad True Love Storyは、近未来のニューヨークが舞台。もう誰も本なんて読まなくなっちゃって、金のあるヤツはひたすら長生きとショッピングにご執心。主人公のレニーは、ショボい中年オヤジで、子供の頃は偏差値のことで周りの優秀な韓国系の同級生にからかわれていたのに、いい年して20代の韓国人のユーニスに惚れてしまう。ロングアイランドに住んでいるロシア系のレニーの両親がまた、デイヴィッド・セダリスの家族を上回りそうな可笑しさで、日本にいたら、そりゃレニーはニートで引きこもりになるでしょう、ってなキャラ。
レニーの日記と、ユーニスが親友に宛てたEメールという形式で綴られる近未来の世界では、セントラルパークに貧乏人が住み着き、アメリカは今度はベネズエラとの戦争が泥沼化してて、中国からの借金で財政は大赤字、iPhoneの代わりにみんな「アパラット」というガジェットを首からぶら下げている。このガジェット、周りにいる人間のモテ度(ファッカビリティーwww)をあらゆる条件から瞬時に計算する婚活必需品。スティーブ・ジョブスが開発したら、みんな並んで買っちゃいそう。
もう世も末で、2人とも何を信じたらいいのかわかんないし、ユーニスはかなりビッチーなんだけど、それでも移民の親を持つ新米アメリカン同士として通じあうものがあるのか、不器用ながら少しずつ愛を育んでいく。
とまぁ、今んとここんな感じだけど、シュタインガート教授、オモシロすぎです。今コロンビア大学で教えているらしく、ワークショップの他に「『アメリカのコンプレックス親父文学』というクラスでアップダイクを、『ぶっ飛び男性文学』というクラスで(ホントにそういう講義名なのかは知らないけど)マーティン・エイミスを今やってるんだよね、しかも「ぶっ飛び」の受講生は女子生徒が多いんだ〜、エヘ」とまぁ、茶目っ気たっぷり。
しかし、とても40手前とは思えない風貌。NYタイムズをチェックしたら、カクタニさんがベタ褒めしている。これは今年の全米図書賞、いくかも、だね。
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