出版社のウェブサイトやツイッターをランク付け—Top dozen of publisher’s sites and SNS

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出版社のウェブサイトやツイッターをランク付け—Top dozen of publisher’s sites and SNSBooks and the City

総合ニュースサイト、ハフィントン・ポスト(このサイトについてはいずれ新聞紙の終焉説とともに紹介するつもり)に出版社のウェブサイトと、ツイッターやフェースブックを比べ、どこのがいちばん面白いか、なんてのをやっていたので、訳してみました。ま、ちょっと自分の説明(*)も付けたのでフェアユースってことでヨロシク。

まずはどこの出版社も持っている自社ウェブサイトのトップ12から。昔は、どこの版元も、どうやってウェブサイトを使って自社刊行本を買ってもらえるか、そればかり考えて作られたようなサイトばかりだったけど、それじゃ誰も来ないってことがわかって、コミュニティー作りを考えるようになった。

一時期はどこもウェブサイトからの直接販売で、リアル書店からオンライン書店まで一気に中抜きして読者に直接売って儲けよう、なんて目論見もあったけど、今は書店さんを怒らせないようにひっそりとやってる。

サイトの評価は、予算や人材が確保できる大手に対して厳しくなっている印象。ではドーゾ。

1. サイモン&シュスター
このサイトで面白いものを探そうと思ったら、一番下までスクロールすると、iPhone用のアプリ、オーディオブック、図書館司書や教師のための情報なんかが見つかる。
(*さすが、MTVや映画スタジオのパラマウントなどを持つメディア・コングロマリットのヴァイアコムを後ろ盾に持つ出版社だけあって、マルチメディアなコンテンツのデザインが秀逸。でもいちばん気になるのは右上の赤い「Free Stuff」のリンクじゃないの? ただで読める特別コンテンツとか、Eブックがタダとか、旅行が当たる懸賞とか、お得な情報が…)

2. チェルシー・グリーン
このインディー系の出版社のサイトはハフィントン・ポストにレイアウトが似ている。ブログやビデオや、その他のコンテンツもバラエティー豊かだが(一番上のセール情報以外は)どれもちゃんと自社の本と直結した内容になっている。
(*ここは80年代に創業したばかりの小さいとこで、再生紙を使うなど「地球に優しい」出版、ってなミッションが明確だからコミュニティーを作り易い。っていうか、まずそのミッションがあって、その一部門として出版社もあります、ってスタンスだな。)

3. メルヴィル・ハウス
インディー系のメルヴィル・ハウスも自社ブランドをしっかり築いた好例で、出版を始める前から存在していたMobyLivesという素晴らしいブログがベースになっている。サイトの下半分に隠れるように、出版業界に興味のある人にはとても面白い鋭い内容のコンテンツが並んでいる。
(*ニッチといえば、これほどニッチで個性的な出版社もない。元々、本や出版に関するコラムを書いていた発起人がブログでコミュニティーを作り、じゃあみんな何が読みたいのかい?って話から出版社を作っちゃったんだから。しかも売れないと言われる翻訳ものもやってるんだよねぇ。こりゃどうしたって応援したくなるよ。)

4. マクスウィーニーズ
はいはい、わかりました。インディー系出版社のマクスウィーニーズは、ウェブで表現するには前衛的すぎるんですね。見かけはともかくとして、今まで見た中でいちばんよく書かれて面白いコンテンツがあるサイト。一介の文芸誌以上の「ブランド」として確立されたマクスウィーニーズの名の下に、短いコメディーから、「マクスウィーニーズのお薦め」として本だけじゃなく、映画から庭にどの花を植えたらいいかまで読者にアドバイス。

(*今トップに出ている「母より」の手紙が並ぶトップページの説明をするとね、夏休みにアメリカの子供たちは親元を離れてキャンプに送られるんだが、これはそのパロディーで、シングルマザーの母親が会社員のためのキャンプに送られて、毎日のように子供たちにに短い手紙をよこす、という設定なわけ。んでもって、最後は新しい父ちゃん連れて帰るからね〜みたいなノリになってるし。とにかくこの文芸誌をやっているデイブ・エガースのギャグセンスに脱帽。)

5. クロニクル・ブックス
ざっと見た印象では、本を買うのにテンポの良い洗練されたデザインのサイトになっている。ブログは見つけにくいのが難だが、同社の本に関連した内容になっている。
(*クロニクルは半分、文房具みたいな本型のおしゃれグッズを作っている版元、と考えるように。キャス・キッドソンのレシピセットとか、日本にも輸入されて売れている本もあるんじゃないかな? マカロンの本、なんて見ただけで欲しくなったしなー。プレゼントとして。)

6. ペンギン
特に何が目新しいってわけじゃないが、同社の本のウェブコンテンツとユーザーコメントなどソーシャルなコンテンツを上手く融合させている。情報に最新のニュースと、ビデオコンテンツが用意されている。「ペンギンクラシックのベストテン」なんていう面白いコンテンツも。
(*さすが、大御所、ペンギンのロゴ入りトートバッグなんてグッズコーナーまであるよ。ここの「本っておもしろい、本っておもしろい、本っておもしろい」って書かれた子供用Tシャツなんて可愛すぎる。

7. ハーパーコリンズ
各地で自主的にブッククラブを作ろうという人たちのために用意された「イベントの開きかた」ガイドや資料が充実。一番下までスクロールすると、短いけど最新の出版業界情報が手に入る。
(*ここもマードックのニューズ・コーポレーションが親会社なので、マルチメディアなコンテンツは任してちょ、という感じ。ビデオコーナーが充実してて色んな著者のナマのお姿が拝める。)

8. マクミラン
イチオシの本の紹介があるのはいいが、オリジナルコンテンツが物足りない。右側に埋もれそうになっているブログは小さくて読みにくいし、最後のエントリーが3月10日ってのは、光陰矢のごとしのネットの世界ではもう大昔の話。下の方にこれまた埋もれてる「ブックニュース」は時制順で並んでいないし、こっちもおそらく長いこと更新されてない感じ。
(*ここの他の大手のサイトと同じで、出版社全体だと印象が散漫だけど、各インプリントのサイトに行くと、個性が出てくる。でも確かに字が小さくて読みにくい。)

9. ブルームズベリー
ソーシャルメディアと本を購入するシステムがちゃんとつながっている。ブッククラブの情報と、ビデオコンテンツがある。
(*アメリカのブルームズベリーは中堅どころ、って感じだけど、イギリスの本社がハリ・ポタやニール・ガイマンっていう強力な著者を抱えているのが強み。YouTubeにチャンネルまで持ってるし。)

10. オックスフォード大学出版
老舗の学術出版というイメージのOUPのサイトじゃ、本の販売情報ぐらいしかないだろうと思いがちで、 一番右下に小さいリンクがあるだけの面白いブログがあるのに気づかないかも。もっとこのコンテンツを活かして前面に持ってくればいいのに。
(お固い大学出版の本は、大学の教科書に指定されているのも多いけど、普通の本屋で買ってもあまりディスカウント効かないので、サイトに直接行って買う、ってのも手かもしれないな。こういうところがファンシーなサイトつくってもかえって印象悪いだろうしね。)

11. ハーバード大学出版
他の大学出版と比べるとかなり垢抜けたウェブサイトだが、非の打ちどころがないわけじゃない。サイトの一番上でクルクル廻っているディスプレイは読む前に変わっちゃってついていけない。もう少しコンサバなデザインだが、かなり頻繁にアップデートされたコンテンツに行き着くリンクもある。
(*ついていけない、というより、大きすぎてちょっとウザくないか? リンクもRSSフィードがズラッと並ぶページがあったりして、リーマンショックの前にサイトにお金かけすぎちゃいましたね、という印象。)

12. ランダムハウス
ページの真ん中まではどうやったら本が買えるかぐらいの情報しかない。ニュースのコーナーはアイテムに日付が入ってないので、どのぐらいアップデートされているのかわからない。全体的にコンテンツが探しにくくて、ブログの中には2006年で終わっているものも。
(*古巣が最下位でけちょんけちょんに言われているのは残念だが、確かにあんまりサイトに力入れてない。でもブログが2006年で終わっている、っていうのは、それ以前からやっていた、ってことだし。まぁ、親会社が質実剛健なドイツの会社なんで、あまりぶっ飛んだものは期待できない。それにここも大きすぎるから、各インプリントのサイトまで飛ばないと、何が何だかわからないでしょ。)

さて、お次は各出版社のツイッターアカウントとフェースブックページの評価です。フェースブックってのはミクシーみたいなものなんですが、企業みたいなグループのページだと、そこに「ファン」として登録すると、個人のページに「アタシが好きな本」みたいな情報を入れたり、お知らせを受け取ったりすることができるというわけ。

1. クノップフ @aaknopf
ランダムハウスのインプリントの中でも一目置かれるクノップフは去年の1500人から3万2000人にフォロワーを増やした。コミュニティーと深く関わろうという姿勢で、宣伝情報は言うまでもなく、本にまつわるニュースやちょっとした思いつきもつぶやく。「ちゃんと個性的な『声』ができているからでしょうね」とはクノップフのアンリース・スピッツァーの弁。
(*サイトはダメダメだけど、純文学系インプリントのクノップフはやっぱり一味違う。)

2. クロニクル・ブックス @chroniclebooks

ここもツイッターとフェースブックでちゃんと自社ブランドを築いたインディー系出版社。ツイッターのフォロワーが1万7000人で、5000人を超えるフェースブックファンがいる。特にツイッターのアカウントでは、自ら進んでハッシュタグを作ったりするなど、コミュニティーに深く関わっている。フェースブックの方は自社刊行本の宣伝が主だが、頻繁にアップデートされてそこそこコメントや「お気に入り」がつく。

3. リトル・ブラウン @littlebrown
アシェット出版グループの一部門として4万8000人を超えるフォロワーがいる成功例。1年前は6000人だったのに、業界誌PWに載った最近の記事のおかげでフォロワーが急増。他の出版社アカウントほど頻繁につぶやいているわけではないが、人気がある本や、自社の好著に関する内容のあるツイートばかり。@の使い方が上手く、飛ばされた@に対して返事もよくする。

4. トア・ブックス @torbooks
ファンタジー、SFの版元として知られているので、ツイッターの世界でも強い。1万3000人以上いるフォロワーはニッチに特化したコアな読者がいるのが功を奏している。本の情報の他にもSF/ファンタジー関連のニュースも充実、steampunkの最新トレンドや、コーリー・ドクトローの最新ブログエントリーまで、フォロワーによるディスカッションも盛んだ。

5. アルゴンキンブックス @algonquinbooks
インディー系の出版社がフォロワーを積み重ねていった好例。ランダムハウスやペンギンみたいな大手ほど名前が知られてなくても、2万6000人を超えるフォロワーがいる。ツイッターのコミュニティーでは知られた存在で、他の人のツイートに良く反応しているし、ブック・ブロガーたちと対話している。

6. チェルシー・グリーン @chelseagreen
ここも1万3000人強と、かなりのフォロワーを持つインディー系の出版社。エコ系のブランドとしてよくニュースに登場しているので、ツイッターでも本の販促宣伝だけじゃなく、エコ系のニュースも流している。フェースブックでも2000人以上のファンがいる成功例。こっちでも自社の本の情報だけでなく、エコ系のニュースサイトとしても機能している。

7. グレイウルフ・プレス @graywolfpress
ミネソタにあるインディー系出版社はかなり強力な読者がついていて、ツイッターでは2万9000人のフォロワー、フェースブックでは2000人のファンがいる。ツイッターのアカウントはちょっと変わっていて、必ずしも自社刊行本や、本そのものにも関係ないことをつぶやいているが、それでもウケている!

8. ランダムハウス @randomhouse
フォロワーは6万2000人もいる。各インプリントもかなりアカウントをもってて、それぞれ自分とこの本のツイートをRTして宣伝に一役買っている。本をただ売ろうとするんじゃなくて刊行関連のニュースやPRもつぶやいているところが◯。

9. アンブライドルド・ブックス @unbridledbooks
ここもツイッターで独特の「声」を持っている。4000人のフォロワーがいる小出版社で、著者のイベントや、書評のお知らせといっしょに、ときにはアイスティーへのこだわり、なんて個人的なツイートを流している。

10. ペンギン @penguinusa
ペンギンも6万5000人を超えるフォロワーがいる大御所。フェイスブックでも、今まで見た限り2万人以上のファンがいる。両方ともかなり活発で、コミュニティーに貢献している。ツイッターのアカウントは@の使い方やハッシュタグをちゃんと利用して、フォロワーへの返事も多い。フェースブックでは、ファンが思わず反応してしまう質問の設定が上手く、写真や記事も多め。

11. サイモン&シュスター @simonschuster
ツイッターのフォロワーは1万6000人を超えるほど。最近、注目のツイートは、何をつぶやいてほしいかを訊いたことだ。本からの引用?推薦書?舞台裏の内輪ばなし?著者へのアクセス?という質問におもしろそうな答えがきているので、これからどうやって対応していくかに興味あり。かなり「売らんかな」のPR情報も多いが、フォロワーへの気遣いも見て取れる。

(*あれ、12位は?と思うだろうけど、元々なかったんです)

written by Lingual

ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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