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アメリカ四方山話

グーグルが中国から撤退することの意味を考えてみた−What I’ve always warned about China

世の中にはハイチの地震のように、何の前触れもなく起こる大災害もあれば、全く予期していなかったニュースが飛び込んできて、それがどういう意味を持つのか考えているうちに、もしかしてすごいことが起こっているんじゃないかとじわじわとことの重大さに気づくこともある。ということで、グーグルが中国から撤退する事の意味を考えてみた。

日本が経済大国第2位の地位を中国に譲り渡さなければならない日が近づいている。かつては日本人に与えられた「エコノミック・アニマル」という称号は返上した方がよさそうだ。それは致し方のないことだと思う。なんてったって、もう15年ぐらい不況やって、デフレになってて、未だに出口が見えないんだもの。政権もやっと交代したものの同じ政治献金の問題で足下をすくわれている始末。これからしばらくはアメリカと中国が2大大国となって世界を動かしていくのだろう。

ところで、私がこれまでに周りのアメリカ人に口を酸っぱくして言ってきたことがある。それは「間違っても中国と戦争しちゃいけないよ」「中国にはアメリカ人が大好きなfairnessというコンセプトがない、というより、知ってはいるけど重要ではないってことをよく肝に銘じて相手にした方がいいよ」ってこと。聞いている方はわかっているんだか、いないんだか怪しい反応だけど。

北京オリンピックの時のことを思い出してほしい。準備の段階でスラム街を叩きこわして人を追いだし、何が何でも金メダルをとるためなら、年端も行かない少女に年齢を偽らせて体操をさせるような国だ。他の競争者と同じルールを守らず、それを恥ともしないという点で彼らは西洋の資本主義国の者よりよっぽどすぐれた「エコノミック・アニマル」なのだ。

日本は隣国として中国を相手にしないわけにもいかず、変な食品が入ってこないように、不法移民に国を乗っ取られないようになんとかつきあってきた。それでも南京事件の死者数のことでいちゃもんをつけられたり、いまだに戦争責任を謝れと難癖をつけられたり、毒入り餃子を食べさせられたり、黄砂の被害にあったり、色々と迷惑している。

私が9−11の同時多発テロ事件に遭遇して思ったこと。あの日、午後になってからウォール街のビルから北へずっと歩いて避難したのだが、チャイナタウンを横切ったとき、彼らが平然と商売をしているのをみて感心した。おそらくワールドトレードセンターから黒煙が立ち上り、2棟とも崩れるのをみても「ああ、また王朝が変わったのか」ぐらいにしか思ってなかったんだろうな。なんてったって5000年の歴史の間に、君主制も戦国時代も共産国も経験しちゃってるわけだからね。動じないに決まってる。

DSCF4030ビジネスをするにも、中国は一筋縄でいかない国だ。私がいたアメリカの会社でも、いつかは中国に支店を作ろうと、現地の企業や政府筋と話をして、50−50の平等なパートナーシップでやりましょうね、とずーっとネゴシエーションを重ねてきたのに、最終契約の段階になって、中国側が「でも最終的にはうちらのやり方にしたがってね」という条件をつけてきたことであっけなく空中分解したことがあった。いかにも中国らしいやり方だなと思ったけど、アメリカの会社側にしてみれば、中国でビジネス展開をするために、日本や韓国にも手を伸ばし、現地の文化や法律を学び、細心の努力をしてきた末のことだったから、ガックリきていたのがわかった。

そんなところにグーグルが、中国から撤退するというニュースを聞いて、他人事のようにも思えず、グーグルがどういう経過で撤退の決断を下したのかが気になった。報道されているところでは、中国政府の方針に反対を唱える反政府活動家のアカウントをハッキングしようとしたサイバー攻撃がひどく、それに中国政府筋が絡んでいることがわかったから、だとか、中国の検索サイト「百度」に圧されて事業が思うように進まなかったから、だとか、色々言われているようだけど、最終的には「この国はムリ、フェアに戦えない」と土俵を降りたということだろう。

でも、ちゃんと中国進出を果たしている日本の企業もある。考えてみたら、それはクルマとか、コスメとか、中国人が欲しそうな「物」を送り込んでいるからで、上述の会社はもちろん「本」で、グーグルは「検索サイト」という知的財産権が絡む進出。言い方を変えれば、中国側に西洋式の「アイディア」を売り込むところで失敗しているのだ。これは難しいだろうな。なんてったって、かの国では、中国を舞台にした「ハリポタ」シリーズが平気で出回ったり、自国のノーベル文学賞受賞者の作品は存在してないことになったりするんだもんなー。

ということは、去年10月のフランクフルト/ブックフェアで中国が主賓国だったことの意味も変わってくる気がするのであった。あんなに「うちの国でも、出版が盛んなんですよー、海外の本も買いますよー」って見せつけて帰ったけど、それはうわべだけのポーズで、本質は何ら変わってもいなければ、変わる気もなさそう。中国進出をもくろむ出版社はもうしばらく苦労しそうだね。

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