Frankfurt Book Fair 09 Report Part 2: 話題の中心はビッグブックではなくてEブック—Talk of the fair on E-books, not Big books


フランクフルトでお披露目されたタイトルは、今年も小粒なものばかりだった気がする。フィクションでは、一番大きかったのが南アフリカの政治家ネルソン・マンデラの手記。政治犯として獄中でしたためられたものを含む27年間の記録を『自身との対話(仮題)』として発表。フェア前にPan Macmillanがイギリスで、FSG(ファラー、ストラウス&ジルー)がアメリカでの版権を獲得。フェア中に各ヨーロッパ権が奪い合いに。

twoauthorsフィクションでは、エージェントのアイラ・シルバーバーグが持ってきたAdam Haslettアダム・ハスレットという人のUNION ATLANTICという小説かな。ジョナサン・フランゼンの『コレクションズ』に匹敵する、今のアメリカを普く伝える良書、ということでした。著者はこれまで短編集で高く評価されている人ですが、風貌を見ると、「アメリカ版吉田修一」という言葉がどうしても頭を離れません。思わずコラージュを作っちゃいました。どぉ?

もう一つ、皆が話題にしているのだけれどゲテモノ扱い、という本が生前のマイケル・ジャクソンがディーパク・チョプラの息子と温めていたグラフィック・ノベルの企画。FATEDと題されたコミック小説で、孤独な主人公がホテルから身投げしたところ、超人的な力を授かり…というお話らしい。版元はクノップフ傘下のヴィンテージだけど、編集者だれだよ? エドかな? アンドリューじゃないよなぁ?

ffフランクフルト・ブックフェアでビッグ・ブックが出なくなって久しいけど、その分、話題になっているのがEブックの行く末。やっぱりヨーロッパ諸国ではグーグル・プリントに対する風当たりが強くなっている。

一方、端末の話題もいくつか。ちょうど日本でもアマゾンのキンドルが買えるようになって、皆さん興味津々と言ったところでしょう。海外では使えないけど、一番新しい仕様の私のキンドル2を持っていったところ、日本やヨーロッパの人にけっこうウケてました。みんな興味津々。

でも、キンドルに関する限り、私はこれも一過性のハードであって、このまま右肩上がりで世界スタンダードのEブックになる、などという甘い夢は、アマゾンだって見てないはずです。大型判のキンドルDXはこのままポシャると思うし。この先、アマゾンは、キンドルでEブックに限らず、アマゾン・コムの商品が買えるようなシステムにするでしょうね。そのためのワイヤレスだと思われ。

なんて言っていたら、書籍チェーン最大手のバーンズ&ノーブルも、似たようなEブック端末を発表、来月から出荷するらしい。Nookという名前はいただけないけど、見た目からしてキンドルに似ているので、おや?と思っていたら、アップル出身の人が率いる同じデザインチームを雇ってデザインさせていたことが判明。こちらも同じEインクを使った白いボディー。違いは、下の部分にカラーのLCDスクリーンがあって、表紙のデザインなどはカラーで見られたりする。値段もさほど変わらないみたい。

Eブックにしてもヨーロッパ勢は、英語圏にコントロールされてはたまらないとばかりに、フランスのEditisや、ドイツのホルツブリンク社などが独自のEブック路線で、オンラインで電子版が買えるようにする努力を始めた。

ドイツの本屋さんをいくつか見て、あらためて感じたけど、ドイツも日本と同じようにディスカウントを禁止し、本はどこで買っても同じ値段。しかもそれがハンパじゃなく、高いような気がする。ダン・ブラウンの新作『THE LOST SYMBOL』なんて、ハードカバーが26ユーロ。3600円なり。しかもシュリンクラップしてあって、立ち読み不可。私はアメリカのキンドル版で1000円以下で手に入れてしまったというのに。

そうそう、今アメリカではディスカウント競争が加熱してて、エラいことになってる。これも報告しなきゃ。

written by

ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
Related Posts
© Copyright - Books and the City - All rights reserved.