豪華ゲストが勢揃いで、みんなタダで聞けちゃう、本好きにはたまらないBrooklyn Book Festival 09


今年も行っちゃいました、ブルックリンのブックフェスティバルに。ポール・オースターや、ピート・ハミルや、スティーブン・ミルハウザーといった大御所が出るイベントは、コアなファンに譲るとして(1時間前に配布される整理券に長蛇の列…並んでる時間があったら他のイベントに行きたい私)、トートバッグに本とお弁当を忍ばせれば、1日タダで遊べちゃうという、本の虫にとってはたまらない秋の行事になりつつあります。去年は暑くて早々に挫けたけど、今年は秋晴れのよいお天気、ふふふ、目一杯エンジョイするぞー。

1時間ごとに、野外ステージと周辺施設で違うパネルがあるので、まず、スケジュール表とにらめっこして何時にどこのイベントに行くのかを決める。あ〜、この感じ、何かに似ている、と思ったら、大学の授業スケジュール表とにらめっこしながら来学期とりたい授業を決めてる時の感覚なんですね。20年前の話だよ…。とりたいのがダブった時はどっちを優先させるか、ぜったい外せないのはどれか、時間に余裕があったらまわるのはどれか、って。

editor:writerまずは既に始まっていた小規模のイベントに、昔会ったことのある同じ出版社の編集者の名前を発見! 私も彼女もこの会社を辞めてからお互いに音信不通。その彼女が今度は著者として本を書いていたことも知らなかった。で、まずはそちらへ。

文芸誌や書籍出版社で編集者としての経験がある人たちが自身の作家ライフを語る、というイベントで、会場の人たちもほとんどが自分の本を出したいと思っている人たちのようでした。質疑応答の時の食いつきが違うもん。

イベントの後、私のこと覚えているかなー、と思っておそるおそる近づいていったら「あら〜、Kじゃない!」と向こうからハグハグ。今日はあまり人に見せないメガネに帽子姿だったのに、一発でわかるとは恐るべし記憶力。とりあえず連絡先を交換、後日ゆっくりとキャッチアップすることに。

memoirists次なるパネルは、メモワールを書いた作家4人を集めてのグループ対談。司会進行役のブリジット・ヒューズ(右端)は元パリス・レビュー誌にいた編集者で、独立して文芸誌をやっている人。自分のイベントに遅刻する作家もいたりして、なんかノンビリした雰囲気はいいんだけど、椅子が足りずに後ろで立ちんぼがちょっと辛くなり、途中退場。教訓:ハイヒールを履いていくのは止めましょう。

零細出版社のブースをちょっとひやかした後は、ポール・オースターの奥様、シリ・ハストヴェットが参加しているインターナショナルなイベントに。でもイタリアからの参加者が欠席で2人を相手に司会をしているのは、これまた知人のディーディーたん。君もリチャードもがんばっているねぇ。デジタル化されつつある出版業界の未来を見据えて、安定した編集者の地位を捨てて新しいプロジェクトの立ち上げに飛び込んでいったんだから。

siriさすがシリ姉様(右端)、カッコいいです。トークのテーマは「作家がつくウソと秘密」。文学史の中で一番のウソつきっていったら、誰だと思う?という質問に対し、シリの答えは「大ほら吹きといえば、リチャード三世じゃない? 舞台で見ていてもゾクゾクするぐらい自分のいいように世界を語っているから。ということで文学史で最高の嘘つきはシェークスピア」でした。

この後もまたブースをまわって栞をもらったり、仕事のコネまでつけちゃったりして、有意義な時間を過ごしました。で、まだ余力があったので、最後の枠のイベントに並ぶ気になって選んだのが、ジョナサン・レイサムとメアリー・ゲイツキルの対談。

そしたらこれが大当たり。グランタのジョンが言っていた通り、ゲイツキルって気分屋さんなのか、この日はとっても上機嫌で饒舌だったわけ。同じ人かい?ってぐらいに。もう対談相手のジョナサン放ったらかしで、喋りまくり、聴衆の笑いまでとっていたぞ。

一番盛り上がっていたトピックは最近ニューヨーカー誌に載ったエッセイ(ライターの名前を失念)で、「最近の文学は、自分の家族のことばかり書きすぎる。社会的に重要なテーマに取り組んだ文豪は2人しかいない」みたいなことを宣った意見に対し、2人の本音をぶつけあったとき。ゲイツキルは「どんな社会でも、その根本的なユニットは家族なんだから、家族のことを書くのは同時に社会的なテーマに取り組んでいると思うわ」というご意見。

festival終盤でちらっと彼女が桐野夏生のOUTをベタ褒めしているのも聞き逃しませんでしたぞ。OUTが好きなら、INもお薦めですよ、と耳打ちしたかったくらい。いや、メアリー・ゲイツキルと桐野夏生の対談を実現させたいな。テーマはもちろんセックス。こりゃすごいイベントになるぞ。私なら絶対行くもんね。

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ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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