ロンドン・ブックフェア09雑感—Miscellaneous Musings during the LBF 09


なんだかんだで今年も来ました。珍しくお天気がいいロンドン、快晴の空、アールズコートの周りのガーデンではモクレンやライラックが咲き乱れ、鳥の鳴き声が。のどかで良いわー。だけど仕事だー、そんなことはちっとも嬉しくないぞ。以下、まずは文句です。

英ポンドがちょっと安くなったおかげで、腹が立つほどの物価高感はないものの、相変わらずとんでもなくまずい食べ物に出くわしたぞ。ペンネの冷製パスタなんて、最低でもケチャップぶっかけておけば食べられないほどまずくはならないだろう? なのに、この赤くて甘ったるいソースは一体なに? 泊まったところは値段のわりにゴージャスなホテルに当たったけど、ベッドの上にまでシャンデリアが下がっている必要ってある?(以上で文句を締め切らせていただきます。)

私って碁盤の目になっていない場所だと、かなりの方向音痴になるんだろうか? アールズコートの会場がどうなっているのかサッパリわからない。だいたいからして3角形のフロアに四角くブースを配置するのってムリがあるよね? 2階のエージェントセンターにつながるエスカレーターを何度使っても場所が覚えられなくて1階をウロウロ。

08年9月の金融危機があってから、出版界にもリストラの嵐が轟々と吹き荒れたし、どこも経費を引き締めにかかっているから、例年より寂しくなるのではという危惧もあったようだけど、これが大間違い。かえっていつもより盛況だったのでは? だって、トランスワールドやキャノンゲートといったイギリスの出版社は「今年は今んとこ、調子いいのよー、ありがたいことだわん」「いやぁ、オバマの本が売れまくっちゃってさぁ」と満足げ。いいなぁ。

しかも、エディターとエージェントが集ってスピードデーティングする国際ライツセンターなんて、フランクフルトの2倍ぐらいのテーブルがあって、しかも、空いているテーブルがないぐらい。まぁ、事情通のエド君に聞いたところでは、どこも経費のかさむフランクフルトより、まだもう少しお安いロンドン・ブックフェアを最大限利用してヨーロッパの人たちに会いにきているとか。でもそれだけじゃ説明がつかない気がする。この盛況ぶりをご覧あれ。これで会場の約半分しか写真に収まってない。

今年もいわゆる「ビッグ・タイトル」は見当たらず。もうスカウトではないから、もとよりビッグ・タイトルの行方なんぞどうでもいいんだけど、やっぱり気になる。スウェーデンの殺人ミステリーThe Hypnotistとか、Foundry(うわー、アイラが老けてるー、というより貫禄がついてきたってことか?)が出してるHungryというフィクションがウケてオークションになってるとか、イギリスのチャールズ皇太子が本を2冊書くことになったのが話題になったぐらい。

最近は「世界各国で版権が売れています。ただし日本はまだ」というタイトルがずいぶん多くて、寂しい気がする。日本じゃ翻訳ものって売れないからなぁ。最近、海外文学のベストセラーってないよね。でも、世界のあちこちの国でベストセラーになっている本って面白いのかどうか読んでみたいって普通思わない? 不況とはいえ、2000円そこそこで何時間も楽しめる「本」って、娯楽としてはコストパフォーマンス高いメディアムだと思うけどなぁ。

不況にもめげず、あるいは不況だからこそ頑張っている海外の人たちを目の当たりにすると、自分も頑張らなきゃ、って気がします。今回、少し今までと違う決心をしました。I’ll be more emotionally vested in this work.ちょっと怖いけど。

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ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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