一昔前のベストセラーを今ごろ映画にするのはリメイク? リバイバル?—Old bestsellers are materials for new movies again?
なんだか妙なニュースを小耳に挟んだ。84年にセンセーショナルなデビューを果たしたジェイ・マキナニー(日本では必ず「80年代のサリンジャー」って言われてましたね)の『ブライト・ライツ、ビッグ・シティ』がまたしても映画化されるというのだ。
『ブライト・ライツ』といえば、二人称で退廃的なニューヨークを綴るインパクトのある文章で、雑誌社の仕事にも行き詰まり、モデルのガールフレンドは浮気に走り、本を書こうにも筆が進まなくて、酒とドラッグに溺れて毎夜パーティーで遊びまくる、というドンゾコ人生まっしぐらの若者を描き、マイケル・J・フォックス主演で88年に既に1度映画化されている。映画じゃNYポストの見出しと、気持ち悪い「coma baby」ばっかりが記憶に残ってしまいそうだったけど。
それをなぜ今さら?
脚本を手がけると発表したのは『O.C.』や『ゴシップ・ガール』といった人気TVドラマでお金持ちのティーンエイジャーが繰り広げるドロドロの恋愛ドラマを次々と生み出して一躍売れっ子になったジョシュ・シュワルツで、 これで映画監督デビューするという。
そもそもこんなことになったきっかけというのが、マキナニーとシュワルツが2人とも今年のトライベッカ映画祭の審査員として意気投合し、マキナニーが『ゴシップ・ガール』のエピソードに特別出演したりする仲になっているかららしい。まぁ、二人とも東海岸系のお金持ちのボンボンですからね、気が合うのでしょう。
問題は、リメイクするにあたって、時代設定を現代に書き換えるのか、バブってた80年代のままでいくのか、ってことらしい。個人的にはあの本はスピード感のある2人称で綴られているのが新鮮だった、ってのはあるけど、映像にしちゃったらタダの堕落した若者の話じゃないか、もうコカインも流行らないだろうしっていう気もする。日本じゃ高橋源一郎が訳して話題になったらしいけど、日本語で読んでないからわからないなぁ。(Photo by: Carlos Lowry)
でも、今のジェイ・マキナニーを見ていると、柔和なオジサマそのもの。そうそう、実は去年だったか、こんなエピソードがあったんです。近所のワインショップに立ち寄ったところ、何やらイベントの準備をしていたので、試飲会でもあるのかな?と思ってお店の女の子に訊いたら「ワインライターの人が来てサイン会をするの」というお返事。へー、そうですか、まぁ、関係ないやとスペインのリオハの棚を眺めていたら、知りあいにうんちくを傾けるナイスミドルが隣りに立っている。ふと、顔を見たら、な、な、なんと! ジェイ・マキナニーではないか!
おーい、こいつはただの「ワインライター(a wine writer)」じゃなくて、「かのライター(the great writer)」だろーに! そうと知っていれば『空から光が降りてくる』を持ってくるんだったー。なんて、ムリか。上下巻とも日本にあるんだっけ。
ということで、無理してマキナニーの最新作、つまりはワインに関するエッセイ集を買ってサインしてもらいました。するとマキナニーさん、私が日本人だと見抜くと、「名前はケイ? ケイコじゃなくて? ふーん」と言いながらサインの上に「Kampai!」って書いてる。内心「むむ、おぬし、できるな。村上春樹と友達とは聞いているけど、ここまで日本通かい」と不思議に思っていたら、昔、若い頃に何年か日本に住んでいたことがあるんですね。今まで懲りずに何度も結婚してるけど、最初の奥様は日米ハーフのモデルだったらしい。あ、だから映画でもガールフレンド役がアジア系のフィービー・ケイツなのか。今さらながらに納得。
しかもその本を読んだおかげ(せい?)で、コンドリューだのトカイ・フリウラーノだの、高い白ワインの味を覚えてしまった私。どーしてくれるー?
おまけ:
昔のベストセラーを今さら映画化、という点ではもうひとつ妙なニュースがあったっけ。『青いパパイヤの香り』のトラン・アン・ユン監督がとうとう村上春樹を説き伏せて『ノルウェイの森』を映画化するそうな。そろそろ撮影に入る頃かな? 菊池凛子がキャストに加わっていると聞いたけど。緑役かなぁ? ハリウッド界の情報には疎いのであしからず。









