新聞はこのまま死に絶えていくのか?— Is the Grim Reaper creeping up on US newspapers?

Bookmark this on Hatena Bookmark
Hatena Bookmark - 新聞はこのまま死に絶えていくのか?— Is the Grim Reaper creeping up on US newspapers?
Share on Facebook
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark
Bookmark this on Livedoor Clip
Share on FriendFeed
新聞はこのまま死に絶えていくのか?— Is the Grim Reaper creeping up on US newspapers?Books and the City

そういえば、このところNYタイムズを買わなくなった。読まなくなった、とは言わない。今でも毎日オンラインで主要な記事はチェックしているからだ。ペーパーコピーを買っていた理由は、クロスワードパズルにハマり、毎朝なにがなんでもパズルを解かなければ気がすまなかったからだ。(オンラインのクロスワードパズルは有料だったし、やっぱりあれは鉛筆でチマチマと升目を埋めていくのが楽しいのだ。)

アメリカ各地で新聞紙が経営危機にさらされている。NYタイムズも例外ではない。新聞そのものがブログやTwitterに圧されてなくなってしまうのだろうか? もちろん雑誌や書籍も売上げは低迷・減少しているけれど、新聞というメディアムそのものの将来が危うい気がする。このままでは。

アメリカの新聞に関する予備知識(初歩的な情報なので、ご存知の方は跳ばしてもらって結構です。

アメリカと日本では新聞の規模や流通形態がかなり違う。アメリカには日本の朝日や読売のような全国紙がない。USAトゥデイがそうだという人もいるかもしれないが、あれはどちらかと言えば、とりあえず国内のどこでも同じものが出せるニュースのダイジェスト版みたいなもので、創刊当初から記事が短く、カラー刷りだったので昔から「紙のテレビ」とバカにされていたし、今でも全国チェーンのホテルで「とりあえず」提供されている新聞、というイメージで、全国紙としての競争力も影響力もないと考えていい。全国紙とはいいながら、総発行部数が200万部強だし。

従ってアメリカでは都市ごとに有力な地方紙があって、その数や購読者数はその都市の人口に比例する。全米最大都市のニューヨークには(今のところ)NYタイムズ(発行部数は100万部そこそこかな)、NYポスト、デイリー・ニュースの3紙があって、お次のロサンゼルスにはLAタイムズがあって、首都ワシントンにはポストがあって、シカゴにはサン・タイムズとトリビューンがあって、ボストンにはグローブが、フィラデルフィアにはインクワイヤラーがあって、地方紙と言えども国内・海外のニュースを伝える役割を果たしている。

ニューヨークの新聞について言えば、タイムズがブロードシートと呼ばれる大判なのに対し、デイリー・ニュースとNYポストがタブロイドと呼ばれる大きさで、内容もローカルニュース、スポーツ、芸能ゴシップに重きを置いたところなんかは日本のスポーツ紙に近いかもしれない。もう1紙、ウォールストリート・ジャーナルを入れても良いかもしれない。日経新聞に近いものとして。

アメリカ各地で新聞がどのような打撃を受けているのか、また、それは単に今回の経済危機の煽りを受けているだけなのか、元々構造的にムリをして来たのがちょうど今、裏目に出て来るべき時が来た状態なのか。

まず口火を切ったニュースは、2月末にコロラド州デンバーのRocky Mountain Newsが閉鎖したことだろう。昨年の赤字が1600万ドルに達し、買い手も見つからなくなり、オンラインでの発行のみとなった。部数は25万部ぐらいあったのが、どこまで減ったのか、興味のあるところ。

これに前後して有力紙を含む新聞のオーナーがこぞって民事再生法に該当するChapter 11を申請している。フィラデルフィア・インクワイヤラーやシカゴ・トリビューンも申請済み。買い手や投資者を捜していない新聞はないのではないか、というありさま。

昔はハーストだのピューリッツァーだのといったメディア王が新聞を出しているだけで大儲けして名声も得た時代があったかもしれないけれど、今となっては新聞に投資するのは赤字覚悟の慈善事業に近い。そんなことに夢中になっているのは今じゃルパート・マードックぐらいじゃないのか。

宅配というシステムがあまり発達していないアメリカの新聞にとって、広告での収入が8割を占める。経済が低迷すれば大企業の広告主は減り、クレイグリストといった個人広告のオンライン掲示板が台頭したため、いわゆる3行広告Classified Adが激減したのも痛い。

オンライン版に移行するといっても、オンラインの広告は紙媒体と違ってものすごく安い料金体系になっているし、どの新聞もアーカイブと呼ばれる過去記事を検索/印刷するのに料金をとるぐらいで、オンラインの読者から購読料を確保できるビジネスシステムがまだない。

そしてわが(?)NYタイムズも給料5%カット、さらに100人ほどリストラ、オーナー家族は投資してくれる人が見つからなければ、このまま売りに出して、最悪マードックに買われちゃうんじゃないか、という話もある。いつつぶれるか、みんなで日にちを当てようぜ、なんていうキツいサイトもあった。(Photo by: disrupsean)

バルチモア・サン紙は海外支局全面閉鎖、なんて敢行してるし、経費を削減すると十分に取材できないわけだから、記事の内容が落ちてくるでしょ、そうなると、読者の方もこんなんだったら個人のブログ読んでても同じじゃないかってなってますます読者が減る。下降スパイラルまっさかさまというわけ。

じゃあ、どうすればいいのか、という話だけど、個人的にはPBSみたいな非営利のテレビ局のようなビジネスモデルも考えなきゃイケナイと思う。購読料とは別に、篤志家の寄付をつのるわけ。トートバッグだのノートブックだのと、タイムズグッズを用意して、個人からお金を集める。オンラインの購読料として決められた金額をとられるよりも、これだったら私も毎年「お世話になってます。これからも頑張って取材してや」代として最低でも数十ドルは出すだろう。

written by Lingual

ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
Related Posts
© Copyright - Books and the City - All rights reserved.