シカゴのお国自慢はド派手なホットドッグと政治家の汚職—Windy City is a haven for corrupt politicians and weird hot dogs

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シカゴのお国自慢はド派手なホットドッグと政治家の汚職—Windy City is a haven for corrupt politicians and weird hot dogsBooks and the City

「シカゴ」と聞いて何を思い浮かべる?

ブルースの本場?(観光したことあるなら妥当な線かな)ミシガン湖から吹きつける冷たい風?(行ったんですね、クソ寒い時期に) 自由主義の経済理論?(お勉強のしすぎじゃない) 甲高いボーカルの80年代のバンド?(歳がバレるって) ミュージカル?(想像力欠如) カブズとソックス?(野球狂)それともバラク・オバマの勝利演説の地?

いやいや、シカゴと言えば「ギャング」でしょ。20世紀初頭の「黒手組(ブラック・ハンド、あるいはマノ・ネーラ)」とニューヨークのファイブポイント党との闘争に始まって、アル・カポーンの白手組が暗躍した聖バレンタイン虐殺事件でしょ、ケネディ大統領に自分の愛人を送り込んだサム・ジアンカーナでしょ…つまり昔からOutfitとかNorth Sideとか「組」があって、派閥争いをしてて、今も連邦政府やFBIとイタチごっこしているのがシカゴ。知事やら、裁判官やら、警察長官に賄賂を渡し、邪魔なヤツは殺し、その結果、州政府は今も汚職と賄賂の温床。実にヤクザな土地柄なんだな。

(ニューヨークにもマフィアはずっといたけど、ご存知ルディ・ジュリアーニが検察長官だった時代におおかた逮捕されて、親分だったジョン・ゴティは獄死して、息子のジュニアは前ほど力はないみたい。他にマフィアが暗躍する汚職の街と言えばニューオーリンズが有名だけど、ハリケーン・カトリーナの後は州政府もマフィアどころじゃないから、野放し状態なのかも。)

オバマが大統領に当選したことで、イリノイ州の上院議員席が空いた。任期終了以前に議員が政府の他の役職に就いた場合、ほとんどの州では州知事が後続する人を指名できることになっている。だからイリノイ州の他にも、ヒラリー・クリントン上院議員が次期国務長官に任命されたので、パターソンNY州知事が後釜に誰を据えるか、であれこれ噂が飛び交っているところだ。(Photo by: Guillaume Boisseau)

マリオ・クオモ前州知事の息子のアンドリュー・クオモとか、ケネディ大統領の娘のキャロライン・ケネディーとかね。私は2世議員はバカが多いからできればやめてほしいんだけど、アンドリューやキャロラインはわりとまともな方だし、任期は後2年だからま、いっか。

話をシカゴに戻すと、オバマの代わりに誰を指名するかで、イリノイ州知事がこれを利用して一儲けしようと企み、あちこちに電話をかけていたのがバレたってわけ。アイツ(オバマをマザーファッ○ーよばわりするとは大胆な)は感謝するばかりで金は出さないとか、どこかの非営利団体で天下りのちょろい役員仕事はないだろうかとか、地元紙のシカゴ・トリビューンのコラムニストのアイツがいつもオレ様に対し批判的な社説を書きやがるからクビにできないかとか、ファッキン、ファッキンと汚い言葉遣いで電話しているのが盗聴され、御用となった。ロッド・ブラゴエビッチ州知事…バカですねー。でもまだ肝心のお金を受け取ってないので収賄罪が成り立つかどうかは疑問。

しかもコイツ、つい昨日まで「労働者の味方」としてヒーローきどりでテレビに出てたのだ。金融危機の煽りを受けて会社が倒産、何の保証もなしに解雇されたシカゴの家具工場の元従業員が工場をのっとってストライキをしていたところに応援に駆けつけて「バンカメが政府から救済してもらいながら貸し渋りするのが悪い。金を出さないなら州政府は今後バンカメとの取引をいっさい停止する。(これって脅しじゃ?)私は何も隠すつもりはない。堂々と、こっそりとでも盗聴でも何でもすればいいだろう」ってな暴言を吐いていたとか。もう、つける薬がないね。

でもイリノイの歴代州知事って過去8代のうち既に3人が汚職で起訴されているし、前任者も目下服役中。下院議員のロステンカウスキーっていう実力者もいたけど、確かクリントンに恩赦されるまで服役してた。ニューヨークといい、シカゴといい、なんで都会の政治家が汚職にはまりやすいかというとやっぱり、お役人だから本人は安月給だけど、大都市なのでとにかく高額の予算を動かす立場にあるから権力絶大。そこに取り入って儲けようと、ロビイストからヤクザまでがすり寄ってくる。で、誘惑に負けちゃう、ってことだろうな。

よくもこんな汚職まみれの掃き溜めみたいな街で、公明正大(そう)なオバマが出てきたよなー、とあらためて感心してしまった。

もうひとつ、シカゴでわからないのがホットドッグ。「シカゴ風のホットドッグ」っていうとなぜかソーセージは絶対ビーフで、パンにポピーシード(芥子粒)がついていて、なぜか刻んだ生タマネギと、生トマトと、ピクルス(酢漬けのキュウリ)と、蛍光グリーンの甘いレリッシュ(これも酢漬けキュウリを刻んだもの)がのっていて、マスタードはつけるけど、ケチャップは御法度、っていう不思議な食べ物。見た目もかなりのインパクト。しかもあまり美味しいとは思えないのだが。(Photo by: Jen Waller)

Hot dogというのはスラングで、(主にスキーとかサーフィンで)難しい大技を見せびらかすような命知らずの輩を指す。だから自分は裏取り引きに長けていると自負したブラゴエビッチが、上院議員の指名権と引き換えに危ない橋を渡って儲けようとしているのが「ホットドッグ」のつもりだったかよ、というオチにしたかったんだけど、ちょっと無理があったかなぁ?

ホットドッグそのものについては、なぜこれがシカゴ風なのか、いつ頃から食べられているのか、ケチャップをぬったら怒られるのか、マフィアとの関わりはあるのか、いっさい知りませぬ。誰か知ってたらおせーて。

written by Lingual

ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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