さっそく出版界にもリストラの嵐が轟々!—Hoping my friends can ride out this storm

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さっそく出版界にもリストラの嵐が轟々!—Hoping my friends can ride out this stormBooks and the City

毎年この時期になると、あちこちのオフィスでクリスマスパーティーが行われる。去年まで、同じ社内にいるけどどこのインプリントにも属さず、それでいて姉妹社の一員、という立場だった私は、気が向くまま色々な部署のクリスマスパーティーに顔を出し、ただワインとただアペタイザーをたらふくいただいて、版権担当者とちょこちょこっと話をして帰る、ってなことを繰り返していた。しかしそれが今年からはフリーランスの身になり、いよいよ帰属するオフィスもない上に、不況の嵐は轟々と出版界にも荒れ狂い、昨日はA社で何人、今日はB社で何十人、という具合に聞こえてくる解雇のニュースを悲嘆ながらに聞くつらい週になった。(ここでドアーズのRiders on the StormをBGMにかけてもらうとカンペキ!)

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まずは古巣のランダムハウス。6月に社長が交代して以来、何か大きな動きがあるはず、あるのでは、あってもいいんじゃないか、とずっと言われていたので、ある程度予測はしていたものの、「キター!」と叫びたくなるほどの大リストラが敢行された。

日本では「リストラ」=「人員削減」あるいは「解雇」って意味で使われてるけど、本来はre-structuring、会社組織の再編成という意味。ガラガラポン、とやったその結果として行われる人材カットだけをリストラ、って言うようになっちゃったんですね、おそらく。でも不思議なのは、別にそんな言葉を使わなくても「解雇」「首切り」「クビ」で十分間に合うじゃないかって話。あげくの果てには、会社の組織編成とは関係なく、自分が無能で仕事ができなくて肩叩きに遭っても「リストラされちゃった」という言葉で済んでしまうんだから。(Photo by: confusedvision)

ランダムハウスが断行したのは大リストラ。今まで5グループに分けられていた一般書部門が一気に3つになっちゃった。一夜にしてバンタム・デルとダブルデイという老舗版元が消えちゃったってわけ。この2グループが抱えていたインプリント(出版レーベルとでも訳しましょうか)はバラされて、他の3つに吸収されてしまった。従って、今のところクビになったのは、それぞれのトップ2人だけ。だけど年が明けてから徐々にスタッフ削減(つまり解雇)が始まるはず。最悪の場合、100人いくかも、と噂されている。

何十年も同じインプリントで着々とキャリアを重ねてきたパブリッシャー(出版社の編集側のトップを普通こう呼ぶ)をなーんの前触れもなしにいきなり解雇、なんて言うと日本人の人はホラーでも聞かされているように恐ろしがるけど、元々アメリカの雇用体制ってそんなもの。法律用語でat will employmentと言っていつでも、誰でも、どんな理由でも(理由がなくても)解雇できる制度。これに対し、just cause employmentというのがちゃんとした理由(仕事ができないとか)がないと解雇できない制度。でも反対にat will employment制度では雇われる方もいつ、どんな理由で辞めてもいい権利が保障される。

業界最大手のランダムハウスだけじゃなく、今年のホリデーシーズンはどこの出版社も赤字に転落するだろう。そうなる前にしかるべく手は打っておこうとしているのだ。日本みたいに出版不況を10年もやって、まだ何の改革もされていないのとは大違い。

まず、今年に入ってアイルランドの教育出版社に買収されたホートン・ミフリン・ハーコート。合併お披露目パーティーをやった数ヶ月後に、「もう新しい企画はとるな」とのお達しが出て50人規模の人員削減。知り合いの編集者も何人か含まれていた。アンジャリなんて子供が産まれたばっかりなのになぁ。

トーマス・ネルソン社。ここは宗教書中心だからなじみが薄いかもしれないけど、54人をレイオフ。ま、全体の10%ぐらいかな。

そしてペンギン社。ここは5万ドル以上の年俸をもらっている人は給料フリーズ。5万ドルなんていったらアシスタント編集者以外はほとんど入る。しかもこの先人員削減がないとは言ってない。

ダイエットやセルフヘルプの本が中心のロデール社で111人のレイオフ。これも全体の約10分の1。

ハーパーコリンズは来年後半から給料フリーズ。レイオフについては明言を避けている(ってことはやろうとしている)。

サイモン&シュスターでも既に35人カット。この後もっと増えるかも。

一人勝ちしているのは『トワイライト』シリーズがバカ売れしているアシェット。社員全員ボーナスもらったとさ。

とまぁ、業界を見渡せば、どこもさっさと1割ぐらいのカットをしている、ってことはそのぐらい売り上げが落ち込むと見ているわけだ。

もちろん同輩の解雇ニュースは嬉しくないけど、利潤追求の企業としては対処が早くて感心する。昔から思うんだけど、「3匹の子豚」風にいえば、日本の出版社ってれんが造りのお家なんだよね。頑丈で多少の風にはビクともしなさそうなんだけど、デジタル化や版権輸出といった新しい分野への対応が遅い。つまりレンガを一つ一つ動かさなくちゃいけないんで新しい棟を増やすにも時間がかかる。急激な嵐にはとても対応できない。ちょっと身軽にしろ、なんて言われても無理。どのレンガを抜き取ればいいのかわからないし、がっちり食い込んでてそもそもそんなことできない。

一方、アメリカの出版社の家はなんだろう、ゼリー状のシリコンでできているみたい。いつも中身が流動していて、急に形を変えろといわれても大丈夫で、少し体積減らせ、といわれたらトカゲのしっぽみたいにすぐにリストラしちゃう。合併、買収も自由自在。アメーバかよ。

このアナロジー、結構自分でも気に入ってるんだけど。どっちのお家に住んでいる方が柔軟な考え方になるか、考えてみよー。

written by Lingual

ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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  • chie

    こんにちわ。また遊びにきました。
    けいさんがRHにいた時にお会いしてみたかったです!日本人の人はいないのかな?と思っていましたが、いたのですね。残念です。

    先週水曜にマーカス社長が社内の大規模な再構築をメールで伝えてきましたが、本当にどうなるなのかみんな心配でした。うちの部署でミーティング、クラウンのミーティング、そしてマーカスのミーティングと、3つが二日間のうちにあり、結局とりあえずうちのクラウンは大丈夫らしいということでした。しかし全体としての収益は9/11の時よりも悪いといっていました。
    社内でもコストカットをひしひしと感じる年末で、みんな仕事があるだけよい、サラリーのアップはもちろんあきらめている状況です。今年のクリスマスパーティは手作りに頼るもので、フードの予算がなかったのですべて個人のボランティアのもちよりでまかなっていました。そんな時期にアシェットボーナスが出たなんてすごいですね。

    ちなみに新しい社長は前のピーターよりも断然人気が高く、とても人柄も良さそうな気さくな人です。

  • Lingual

    はーい、いらっしゃいませ。

    クラウンはタレント本とか得意だし、オバマの本が大ヒットしたから大丈夫でしょうね。でも、どこもこのクリスマスは厳しいものになるでしょう。

    ピーターって社内では「銀行マンみたい」ってんで評判悪かったけど、少なくとも編集者はそんなにカットしなかったよね。トップはクビにしたけど…。私は嫌いじゃなかったな。

  • chie

    こんにちわ。また遊びにきました。
    昨日3週間ぶりの休暇を終えて日本から帰ってきて仕事に行ったんですが、前日に大きなレイオフがあって、私の上司がいなくなってしまっていました。
    うちの部署で2人、編集やプロダクションでも同様で、社内一斉だったようです。。。
    すごくいい上司だったので本当にびっくりすると同時にショックでした。
    まわりにも暗ーいムードが漂いすぎていて
    みんないつまた同じことがあるかと、ひやひやしています。いつまでいられるのか、心配になってきました。

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