血は吸うけどセックスはしないバンパイヤ、アメリカの女の子は『トワイライト』に夢中—Vegetarian vampires practice abstinence in Stephanie Meyer’s Twilight

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血は吸うけどセックスはしないバンパイヤ、アメリカの女の子は『トワイライト』に夢中—Vegetarian vampires practice abstinence in Stephanie Meyer’s TwilightBooks and the City

英米文化の中でどうしても馴染めないものの一つに「吸血鬼崇拝」がある。古くはドラキュラ伯爵に始まって、今週末封切りになった少女向け映画『トワイライト』に至るまで、どうしてアメリカ人ってこんなに吸血鬼ものが好きなんだろう?

一口に吸血鬼ものといっても色々ある。最初に文学史に登場するのは1879年、エイブラハム・ストーカーが日記形式で書いたホラー小説、BRAM STOKER’S DRACULA『ドラキュラ』。昔から何度も映画化されていると思うけど、そういえばずっと前にもキアヌ・リーブスとウィノナ・ライダーという(今から思えば)しょーもないキャスティングで映画になってたね。あれじゃゲイリー・オールドマンの演技が突出するのも無理ないでしょ、ってな。石岡瑛子氏が衣装デザインでアカデミー賞とったっけ。(Photo by: Helgi Hall)

ブラム・ストーカーはアイルランド人だけど、トランシルバニア地方に伝わる吸血鬼伝説を取り入れた。ドラキュラのモデルは残酷な処刑が大好きだった「串刺し公」ヴラド3世などと言われているけど、まぁ、それはヨーロッパの人の偏見、という気もするし。

私が出版関係の仕事に携わるようになってから80年代のバンパイヤブームと言われるものの発端となったのがアン・ライスの「バンパイヤ・クロニクルズ」シリーズ。1作目のINTERVIEW WITH A VAMPIRE『夜明けのバンパイヤ』はトム・クルーズとブラッド・ピット主演で大ヒット。著者本人はニューオーリンズの大邸宅にいて、家から出る時もゴスロリまっつぁおのコスプレで町を歩くような変わったお人らしい。

その頃からとにかく、ありとあらゆる吸血鬼ものが次々と出て「どう?日本でも出してみない?」というお誘いにその都度あらがってきた。一番すごかった(ひどかった)のは、トレーラーパーク(貧乏人御用達の簡易式住居)に住む超肥満のタクシーの運ちゃんが主人公で、デブすぎて自分で獲物を探しにいけないからオンラインのデートサイトで誰かをだますとか、他の人を代わりに行かせるとか、そんな話。そうそう、思い出した。FAT WHITE VAMPIRE BLUESというタイトル。版権担当者にあらすじを聞いているだけで情けなくて涙がチョチョ切れそうな本だったなぁ。ある意味、ウケ狙いのトンデモ本としていけたかも。

で、今気づいたんだけど、上の2冊とも舞台はニューオーリンズ。ルイジアナ州といえばアメリカの中でも珍しく湿気が高く、じめじめした風土の土地柄。日本みたいな蚊がいる地域なだからなー。それも関係あるのかな?

THE HISTORIAN/Elizabeth Kostova

他にもTVだと、Buffy the Vampire Slayerとか、映画だとVan HelsingとかUnderworldとか、Bladeとか、枚挙にいとまなし。日本でも人気のダレン・シャンとか、ロマンスでもローレル・ハミルトンを始め人気作家のパラノーマルものは定番だし、エリザベス・コストバのTHE HISTORIANはけっこう高いアドバンスがついた。私の個人的なお薦めはこれ。まぁ、バンパイヤものながら、かなり出来のいい歴史小説になっていて、オスマン帝国やイスラムに対する西洋諸国の偏見にも触れているし、ドラキュラ伯爵が生きた時代の歴史考証もなかなかのもの。

そういえば、今年のフランクフルトブックフェア前に一番話題を集めた本も、映画Pan’s Labyrinthのデル・トロ監督がチャック・ホーガンと共著で書くバンパイヤのシリーズだったし、まだまだバンパイヤブームは続きそうですね….おっと、吸血鬼本を集めたこんなサイトまであった。

そして今、「ハリ・ポタ」シリーズを読み終わって次の本を探していた女の子たちが夢中になっているのがステファニー・メイヤーの「トワイライト」シリーズ」。雨ばっかり降っている町に引っ越してきた転校生イザベラちゃんが惹かれた男の子が吸血鬼で…という話だけど、4冊からなるシリーズが世界37ヶ国語に翻訳され2500万冊を売り上げているとか。(Photo by: Kekoah)

吸血鬼ヒーロー、エドワードを演じるのは「ハリ・ポタ」でセドリック・ディゴリー役だったロバート・パティンソン。だけど「スター・ウォーズ」のヘイデン・クリスチャンセンと同じ大根役者系じゃないか。見た目麗しく、演技は下手っぴ。ま、ティーンエイジャーの子にはその辺はどーでもいいのか。

しかもエドワードの仲間たちは努力して人間の血を吸わないようにしている「ベジタリアン」系。とはいえ罪もない動物殺す方がひでーんとちゃう? 日光にあたっただけでしぼむどころか熱中症を起こして倒れちゃいそうなひ弱な吸血鬼一族。ベラちゃんのことを好きになっても、興奮すると噛んじゃうかもしれないからセックスできないという設定。悶々とするティーンエイジャーたち。「あたしのために我慢してくれてる美形のカレ」ってのがそそるんだろうな。

著者のステファニー・メイヤーはこれがデビュー作で、この後に大人向けの本THE HOSTも出して、こちらも好調。おかげで吸血鬼嫌いの私にとって当分はあちこち蚊に刺されたような痛がゆい日々が続くのであった。かいかい。

written by Lingual

ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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