アメリカ昔話:もういいから山に行って薪でも拾っててほしいお爺さんの話ーOnce Upon a Time, There was an Old Man Who Lost One’s Marbles and Probably the Election
昔むかし、あるところに負院というお爺さんがおりました。負院爺さんは頑固者で一匹狼なところがあり「マベリック」と呼ばれていました。
負院爺さんの家は代々軍人で、若き負院も海軍学校に行きましたが、卒業の時の成績はビリから5番目という落第生でした。結婚後、パイロットとしてベトナム戦争に赴きましたが、大した武勇伝もなく撃墜されて捕虜となりました。戦後ようやく解放されて祖国に戻りましたが、自らもリハビリが必要な上、妻も交通事故で不自由な身となっていました。そこへビール配達会社の社長の娘との逆タマの話が持ち上がったので妻と離婚して彼女といっしょになりました。(Photo by: Andrew Ciscel)
やがて大金持ちの舅の力で地元の名士となり、上院議員になりました。実は、アメリカでは80年代にも銀行が暴走して破綻する危機があったのですが、その中心人物からたくさんお金をもらっていた5人組の中に負院の名前がありました。政治家としても危うく失墜するところでしたが、「思慮が足りず、たまたま悪いヤツに関わっただけ」と言い訳したら世間は許してくれました。
そして8年ほど前、大統領になりたいという大それた夢を見るまでになったのです。ところが、党の指名争いでは、親の七光りで出てきた物種という若造のチームが「彼には黒人との私生児がいるのでは」などと変なデマを流し(本当は単にインドから迎えた養女だったのですが)たので、負けてしまいました。
野望を捨てることができず最近また大統領になりたいと名乗りをあげましたが、どうも上手く行きません。副大統領にはいつも知恵を貸してくれる(ボケて「イランで訓練しているアルカイダが…」と口走った時に、隣りで「イランにアルカイダはいないよ」と囁いてくれる頼もしいヤツ!)利場満という友人を指名したかったのですが、周りに反対され、やけになってちゃんと身元調査をせずに女を指名して女性票をとろうとしたら、コイツがとんでもないノータリンで苦労させられるばかり。
その上「アメリカ経済の基礎はしっかりしている」と言った2週間後に金融不安が起こりました。元々「ぶっちゃけ経済問題はわからん」と言ってしまったので示しが付きません。この時は、正義の味方を演じようと「選挙運動を中断して金融対策法案の可決に全力を注ぐ、だから討論会は先延ばしにしよう」と言ってみたものの誰にも相手にされず、かえって法案可決の邪魔になることを言ってみたり。
選挙に負けそうになってきたので、今度は自分のことを棚に上げて相手を攻撃し始めました。すぐバレる嘘も平気でつきます。言っていることのつじつまが合っていません。根も葉もない噂を流そうとします。行動がまったくちぐはぐになってきました。
普通の家ではお爺ちゃんがこんな風になってきたら、そろそろ介護のホームヘルパーさんに連絡する頃でしょう。本人はまだ来年には大きな「白い家」に引っ越すつもりですが、アリゾナの老人ホームで大人しくしていた方が身のためでしょう。
今となっては見るのもあわれなお爺さんのお話でした。おしまい。









