逃げるか、デモに参加して暴れるか? 間もなく始まる共和党大会ーLeave the city behind, or join the riot? That’s my GOP question

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逃げるか、デモに参加して暴れるか? 間もなく始まる共和党大会ーLeave the city behind, or join the riot? That’s my GOP questionBooks and the City

先週フロリダで大きな被害を出した「チャーリー」という名のハリケーンのことはお聞き及びでしょうか? オリンピックでそれどころじゃないか。フロリダ州というと、日本人にとってはディズニーワールドだの、ユニバーサル・スタジオだのといった娯楽施設があるところ、というイメージが強いかと思いますが、アメリカでは、大勢のご隠居シニアが余生を過ごす場所、つまり州全体がアメリカン爺さん・婆さんの姥捨て山なわけです。海辺の高級マンションに住めるグランパとナナ(スラングでじじばばのこと)もいれば、トレーラーパークで簡易住居にしか住めないじじばばもいるわけで、今回、一番大きな被害を受けたのは、こういうお年寄りたちだったという報道を目にして、老い先短いというのに苦労が絶えない人生ですな、と普段は他人に対してキツい私もさすがに気の毒になったわけです。

なんでこういう話から入ったかというと、つまり、ハリケーンの恐いところは、一応天気予報で進行方向が予測されたり強風波浪注意報の類が出るものの、その通りになるわけでもなく、どんどん風が強くなっていくのを感じながら「逃げるべきか、ふんばるべきか?」という判断を迫られるところが、今の私の心境に似ている、と。これが若者なら、サーフィンボード背負って海岸に飛び出して行くんだろうけれど、じじばばにとって窓をベニヤ板で打ち付けたり、家財道具をまとめて避難したりという作業もおっくうなもの。そうこうしているうちに風速100キロというとんでもない風が吹き荒れ、屋根がぶっ飛び、タンスの下敷きになってオダブツという筋書き。

今の私も、ジョージという名のハリケーンが近づいて、ソヨソヨと風を感じだしたところ。8月30日から4日間、アメリカ全土のクソ田舎から「デレゲーツ」というお下劣(?)な共和党員の人たちが大挙してこのニューヨークに押しかけてくるのだ。マジソンスクエア・ガーデンを占拠して、市をあげて辺り一帯に戦時さながらの厳戒体制をひき、地元民を虐げようというのだ。これが如何に不自然なことであるかは以前にも書いた。

元々、レイバーデイ(勤労感謝の日に当たる)前の8月後半のマンハッタンというのは、ニューヨーカーだったら特に週末はそれぞれ避暑地に逃げ出して、市内のレストランはガラガラ、混んでいるのは観光客の集まるタイムズスクエアの近辺だけ、というのが普通だし、私も避難しようかとも思う。それに、いくらリパブリカンたちがこの街で気勢を上げようとも、選挙になればニューヨーク州はどう転んでも青、つまり民主党候補が勝つに決まっているのだ。こうなると、一票の重みも感じられず、投票しに行くだけ無駄、とも言えなくない。

それに対して、2000年のブッシュ対ゴアの大統領選の明暗を分けたのがフロリダ、結局はブッシュが数百票多くてフロリダを制し、選挙に勝ったということになっているが、真実は闇に葬られたままだ。一つ言えるのは、ほとんど無名の保守派候補にブキャナンというのがいて、ブッシュ、ゴアと並んで投票用紙に名前が載っていたのだが、いくつかの選挙区では投票ボードの並び方がわかりにくく、どうもフロリダのジジババが間違えて、ゴアに入れたつもりがブキャナンに入れてしまったらしいことが判明している。よっぽどボケでも入っていない限り、フロリダでジジババがこぞってブキャナンに投票することなどありえない。なぜなら、ブキャナンは、KKKにも通じる白人至上主義を平気で唱える超保守派だし、一方で東海岸からフロリダに移り住んだジューイッシュ系のジジババは「若い頃はニューヨークでリベラルはってました」ってな人も多いので、いわば犬猿の仲。選挙結果を聞いたブキャナン自身が「オレがそんなにフロリダで票が取れるわけない」と自ら認めたほどなのだ。

で、あと1週間少しに迫りつつある共和党大会。どうしよう? ロングアイランドの友だちの家にでも逃げるか。溜まりに溜まった飛行機のマイレージでヨーロッパにでも行っちゃおうか。一方で、ここにブッシュ反対派のデモ隊が結集するのなら行ってみたいし、共和党のブタ(などと言ったら、ブタに失礼だったりして)どもに石のひとつでも投げてやらんと気がすまないという気持ちもある。結局、悶々としながら30日が来ちゃって、自宅に引きこもることになりそう。吹き荒れるハリケーン・チャーリーの轟音を聞いて怯えていたジジババの気持ちがよくわかる。

written by Lingual

ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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