自粛といってもやっぱりお祭り好きの国民性が出ちゃったアカデミー賞ーHollywood can’t contain themselves even during war time at Oscar


今この瞬間、2つの国が戦争をしている。一方の国では地獄絵図が広がっている。市民が空襲で殺され、ミサイル爆撃によって街が崩壊の憂き目を見ている。もう一方の国では、何一つ平和な日常と変わらぬ時間が過ぎている。

戦時中だから「万事控え目に」したらしい今年のアカデミー賞授賞式。うそばっか。どこがだよ。毎年のようにチンタラと喋りが長いし、みんなタキシードときらびやかなデザイナードレスに身を包み、嬉しそうに金色のオスカー像をもらって帰ってるじゃないか。

ま「そういうオマエもテレビにかじりついて、観てたんじゃねーか」と言われれば、そうなのだけど、受賞した人たちがどう戦争について語るか、聞いてみたかったのである。

その感想は一言で言えば「みんな腰抜け」。兵士の皆さんの安全を祈るだの、一日も早く平和が戻ることを願いたいだの、普段はリベラルを気取るハリウッドの芸能人は揃いも揃って当たり障りのない発言ばかり。「The Pianist」で迫害されるユダヤ人ピアニストを好演したエイドリアン・ブローディはなかなかいいことを言っていたけど。

一番注目していたのは、やっぱり「Bowling for Columbine」のマイケル・ムーア。受賞者を発表したダイアン・レーンがなんか異常に興奮してたのが不思議だったが、やっぱりウルトラ・リベラルを地でいくマイケル、やってくれました。彼は他の候補者を引き連れてステージに上がり、こう宣言したのである。

「この壇上にいる俺たちは皆、ドキュメンタリー映画を作っている仲間だ。みんな、いつも世の中にうそ偽りのない真実を伝えたいと思っている。つまり、嘘っぱちなことが大嫌いなんだ。この国は今、でたらめな選挙で大統領の座に居座った男に支配され、そいつが勝手にでっち上げた理由で戦争をしている…」(繰り返された言葉は fictitious、小説的な、架空の、想像上の、仮想の、うその、虚為の、という意味だ。)

ここまで言ったところで、場内はブーイングで騒然、それでも発言を続けようとしたマイケルが何を言っていたのか聞き取れなかった。そして一方的にキューが出て、オーケストラが演奏を始め、マイケルと候補者の一行は退場を余儀なくされたのだった。

その他はいつになく、「千と千尋の神隠し」の宮崎馳夫といい、監督賞のロマン・ポランスキーといい、受賞者が何らかの理由で会場に居合わせなかった賞が目立つアカデミーナイトだった。

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ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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