マイケル・ジャクソンが最近テレビで引っ張りだこのワケーWacko Jacko is the ultimate accident during the sweep week


ここ数週間、アメリカのお茶の間はどこも(っていうよりリビングルームか)、マイケル・ジャクソンの話題で盛り上がっている。なぜなのか説明しよう。

アメリカのテレビ業界では、今週辺りをsweep weekと言って、年に1回、各局の平均視聴率を見直すことになっている。その視聴率を元にテレビ局が広告主からふんだくれるコマーシャル料金が決まるとあって、各民放局にとっては死活問題。スウィープ・ウィークには、いつもよりさらに高視聴率が取れそうな番組をぶつけてくる。例えば、人気ドラマシリーズの最終回とか、新シーズン最初のエピソードとか、誰もが興味のありそうな特別番組とか。

で、今年は究極の視聴率稼ぎとされているのが、イラクとの戦争でもなく、北朝鮮の核兵器でもなく、紅白歌合戦ではもちろんなく、マイケル・ジャクソンの私生活なのだ。どこかのコラムニストが「the ultimate car accident site」と評していた。「究極の交通事故現場」つまり、自分には関係ないし、見ても何の役に立つわけでもないし、人の不幸を面白がるのは不謹慎だと頭ではわかっていながらも、どうしても見てしまうもの、それがジャイケル君の「ネバーランド」でのプライベート生活、というわけ。

ことの起こりはイギリスのテレビ番組製作会社が作った独占インタビュー。各民放局がアメリカでの放映権を奪い合って、何百万ドルにも値段がつり上がった。これがかなり手応えのある内容で、マイケル・ジャクソンの私邸「ネバーランド」敷地内の遊園地でインタビュアーとマイケル君がゴーカートに乗って競争する場面に始まって、幼い頃から父親にうまく歌ったり踊ったりできないと革ベルトで殴られて思いっきりトラウマになった話とか、「ジャクソン・ファイブ」としてツアーしているときもお兄ちゃんたちとホテルで雑魚寝させられ、お兄ちゃんたちが女の子を連れ込んで同じ部屋でセックスしているのを横で聞かされたとか、ガールフレンドだったテイタム・オニールがベッドに誘ってきたのに結局恐くて童貞のままだったとか、かなりワイドショーな内容が告白されていた。

マイケル君の私生活も一風変わっていて、つまんないからとラスベガスに出かけては、ギャンブルもしないで豪遊するのだが、最高級ホテルのスイートを何室も借り切って、無気味なマネキンやら蝋人形やらを持ち込み、足腰の悪いじーさんばーさんが乗るような電動車椅子でホテルの廊下を夜中に走り回るとか、絢爛豪華な(だけど悪趣味!)なアンチーク屋さんで壺やら絵やらをあれやこれやと買い占めたり、何だかちっとも幸せそうな人生じゃなさそうだったりするのだ。

さらに恐かったのが、こんなマイケル君でも3児のパパだってこと。子どもがパパラッチに写真を撮られないようにいつもベール被せたり、お面を着けさせたりして、動物園に連れていったりするんだけど、母親はどーするねん?って感じ。母親が白人だっていうのはわかるんだけど、子どもがカンペキに白人なんだよね。ジャイケル君、自分が父親との関係を否定されて育ったからって、そんなに意固地にならなくても、しょせん、キミも「変な」パパになっているんだよ、って誰か言ってあげておくれー。

んで、インタビュアーも目がテンになってしまったのが、マイケル君が絶対に整形手術を認めようとしないこと。ようやく「鼻は確かに呼吸が楽にできて声が伸びるように2回やった」って認めてるんだけど、それだけのハズないじゃん。なのに「成長して顔つきが変わったんだ」ってそればっか。思春期の青年じゃないんだから40のオッサンが成長して、しかもいきなり白人になったりするかよ。

他にも、相変わらず子どもたちを招待してはお泊まりさせているようで、ま、確かにジャイケル君みたいにとことん倒錯してるヤツなら同じベッドで寝ても、かえって何にも起こらないのかも知れないと思わせる一方、インタビュアーが「普通、そういうことしないでしょ。どう思われてもしょうがないでしょ」って言ってるのに、「世界には『愛』が足りないんだ」とかワケわからん主張で全然話が通じないのだ。

ま、番組の内容はこれぐらいにしておこう。面白いのは、この番組が放映された後、他の局も高視聴率にあやかろうと、われもわれもと「マイケル・ジャクソン特集」を組んでいること。中には家族のメンバーにインタビューしたものあり、純粋に彼の音楽の歴史を振り返るものもあり。ジャイケル君もさすがに、最初のインタビューを放映されて「マズイ」と思ったのか、自分からもこれに対抗するインタビューを撮らせて「これこそが真実だ!」なんて「いいわけ」番組まで作っちゃっているのだ。

お金も名声も、音楽の才能もあるんだろうけど、やっぱりジャイケル君、キミって変。哀れを誘う。

そして、これから世界の世論を丸無視して戦争をしようって国なのに、ジャイケル君でしか視聴率を取れないアメリカも、じゅうぶん変。でも哀れは誘わない。どっちかっていうと、怒りがこみあげてくる。マイケル番組をしっかり観ておいてこんなことを言うのもなんだが「世の中もっと大事なことがあるでしょ!」ーー結局、そこに話が落ち着くのでありました。

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ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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  • さいこ

    マイケルの悪口かくな!
    てめー頭悪いんじゃね

  • Lingual

    うわー、このコメント以上に頭の悪そうなことって…書けない。

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