なぜ、語学留学するのにニューヨークが向いていないかーWhy I wouldn’t recommend NY as the language-learning destination


相変わらず、ニューヨークに憧れている若い人は大勢いると思う。「学びたい、挑戦したい」という気持ちに水を差すつもりは毛頭ないが、「英語を上達させたい」という気持ちだけで乗り込んでくるには、ニューヨークという土地はあまり適していないと思う。どうしてか? 色々と理由があるんですな、これが。

・新参者に優しくないから
日本人留学生があまりいない田舎町なら、物珍しさも手伝って、学校や地域をあげて応援してくれるかもしれないが、ニューヨークといえば、世界中から移民やら、留学生やら、観光客が押し寄せる場所。こっちから自己紹介したところで「ふ〜ん。、勉強しに来たの。あっそ」で終わってしまうかも。お互いの文化を紹介しあって、理解を深められたら、なんて甘い夢を見るだけ無駄。向こうは既に寿司も大好き、村上春樹も読破していて、歌舞伎や禅宗に興味がある、ってのもウヨウヨいるわけ。ハッキリ言って平均的なアメリカ人は、日本人の友だちがほしいなんて思ったりしないもの。

・ニューヨーカーが喋る英語は訛りがあって、早口だから
これはJFK空港でタクシーを乗った瞬間に実感できるかもしれない。世界中から移民が集まっているということは、それだけお国訛りの強い英語を話す人が多いということだ。タクシーに乗ったらパキスタン訛りやカリビアン訛り、新聞買おうとしたらインド訛り、洗濯物を持っていったら中国訛りの英語を聞き取らなくては生活できない。英語教室に行っても、クラスメートも海外から来ている人たちだから、ハンパな訛りじゃない。やっぱり英語の王道はクイーンズ・イングリッシュよね、なんてこだわるのは日本人だけ。後はピジョンだろうが、通じればいいのさって感じ。

おまけに、やっと巡り会えた「ネイティブ」なニューヨーカーがいたとしても超早口、弾丸のように喋る。相づちを打つだけの新参者相手に自分のことをくっちゃべりたい輩が大勢、手ぐすね引いてあなたを待っている。おまけにネイティブといっても「ブルックリン訛り」や「ニュージャージー訛り」といって、これはこれで他の土地に行ったらバカにされるような言葉遣いだったりするのだ。

・どこの英語学校に行っても日本人が多いから
バブル最盛期のように、市内の英語学校どこに行っても90%は日本人、という事態はさすがに最近は聞かないが、それでもやっぱりクラスに何人かはいる。この「何人か」というレベルが一番むずかしい。なんだかんだと仲良しグループのような派閥ができあがっていて、人間関係がエラクややこしい。なるべく英語で話すようにしたいからと、無視すると嫌がらせされるし、日本人同士で英語を使おうものなら、やっぱり「変な人」扱いされる。

・英語を使わなくても生活できちゃうから
日本人なら誰でも知ってるコンビニ風のJASマートに、古本屋のブックオフ、通信カラオケも、ドラマのビデオの揃った貸しビデオ屋さんもある。日本人の大家さんに、レストラン、古着屋さんもコンピューターショップもあるわけで、例えニューヨークのど真ん中に住んでいたとしても、日本語だけで生活していけてしまう便利な街。よっぽど意志が強くないと、避けられない。

・それなりにお金を使わないといけないから
親のスネをかじらずに、自分で稼いだお金で勉強するんだったら、それは立派なこと。だけど、ニューヨークは全米一生活費がかかるわけだし、ほとんどの場合、留学生ビザでは合法的にアルバイトできない。かといって、あまりケチケチしすぎると、今度は危ない目に遭う確率が高くなる。日本と違ってアパートの家賃はベラボウに高いし、ルームメートをちゃんと選ばないと精神的ストレスの元になるし、英語学校だって、学費をケチりすぎると、レベルが落ちるし。

・遊ぶ場所が多くて誘惑が多いから
そもそも、なんでニューヨークに行きたいと思ったのか? やっぱりこの土地には英語の授業以外のプラスアルファがあると思ったからでしょ? でもこの「プラスアルファ」がクセモノ。夜遊びしたり、観光したり、楽しいことが多い分、お勉強に身が入らないわけ。

・ろくな男があまりいないから
これは特に女の子向けのお話だけど、心のどこかでアメリカ人の素敵な人と出会えたら英語が早く上達するかも、という期待があるでしょ? これはまずムリと思っていた方がいいかも。英語学校のクラスで知り合えるクラスメートは、もちろん、英語が怪しいわけで、コミュニケーション不足で、相手が実はヤバイ人、っていうことに気が付きにくい。英語学校の先生、という手もあるかもしれないが、意外にも、アメリカでは教師が教え子とプライベートな関係を持つことに関しては、日本よりもこれをタブーとする風潮がある。生徒とできちゃうなんて、プロ意識のないショーもない先生ってこと。

教室の外で男と知り合うのも難しい。言葉もろくに通じないのに、ナンパしてくる男なんて、基本的にろくなのはいないわけ。アジ専、ジャパ専、という言葉もあるくらいで、それはアナタにホレてるんじゃなくて、アナタが「日本人だってこと」にホレてるわけだから、トラブルの元になりやすい。カレシだと思っていたのに、日本人ばっかり他にも女が大勢いたとか、バブルの時につきあった日本人のカノジョが、たんまり貢いでくれてイイ思いをしたことがあるので、日本人の子が忘れられなくてつきあった早々金をせびってくる、とか。

ま、いろいろキビシーことを書いてしまいましたが、それでもニューヨークに行きたいんだという人はどーぞ。誰もムリに止めはしません。あなたの人生です。

written by

ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
Related Posts
© Copyright - Books and the City - All rights reserved.