どこまでもダサイのが本当のアメリカのファッションーAmerican style means casual, careless, and non-existent

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どこまでもダサイのが本当のアメリカのファッションーAmerican style means casual, careless, and non-existentBooks and the City

日本の雑誌、それも特に男性誌に「ニューヨークの最新ファッション報告!」などという文字が踊っているのを見つけると、とまどってしまう。「マスコミがウソついてこんなものをでっち上げちゃあ、イケナイねぇ。ちっちっ」と思ってしまう。ハッキシ言って、そんなモノはどこにも存在しないからだ。

アメリカという国に対する大きな誤解の一つに、この国にも流行を追うファッショナブルな一般人がいて、お洒落心から生まれるニューヨーク定番のスタイルが存在する、というものがある。

確かに、ニューヨークでもパリやミラノのように一丁前にファッションショーが毎シーズン開かれてはいる。でも、それはファッション業界という一部の特殊な人たちの行事で、一般市民には関係ない。

私の話がウソだと思うなら、タイムズスクエアを歩いている平均的なアメリカ人たちを見てみるといい。体型はスーパーモデルから程遠いおデブが基本。着ている服と言えば「ギャップ」以下。Kマート(アメリカのイトーヨーカドー)で買ったセーターに、シアーズ(アメリカのダイエー)で買ったジーンズ、インナーは一昨年のクリスマスにもらったTシャツ、というのが定番だ。

おや、おしゃれな人が歩いてるな、と思ったら、その人はタイムズスクエアの一角にある雑誌社「コンデ・ナスト」のファッション誌関係の人だと思っていいくらいだ。国民のほとんどはプラダやコム・デ・ギャルソンという名前を聞いたことがない。

ダウンタウンはどうか。イーストビレッジは日本の原宿にも匹敵する若者の街だとは言えるが、ファッションといえば「オレはみんなとひと味違うんだぜい」「個性的とはアタシのことよ」という気合いが入っているので、日本のロンマフだの、何だのと、みんなが一斉に同じ様な格好をする「流行」というモノはあまり感じられない。

というわけで、挙げ句の果てには日本の雑誌を見て「そっかー、ニューヨークではこういうものが流行っているのかー。そういえばチラホラ見かけるなー」と、気づくことになるのである。この場合、「ちらほら」というのがキーワードである。

「NYニッチ」でも日本のマスコミからよく「雑誌のファッション企画のために、おしゃれな一般ニューヨーカーを取材したい」という要望があるのだが、お金をかけた小洒落た格好の人たちを捜し出してくるのが一苦労。女の子ならまだいい。おしゃれな(ストレートの)男の人を捜してくるのは、至難の業だ。

いや、この街に限らず、アメリカの男性は「おしゃれはホモの男性がすること。洋服やバッグなんぞにお金をかけるのは男がすたる」と信じ込んでいるかのようだ。

最近、女友だちから相談を受けた。彼氏がオシャレにキメルと、他のアメリカ人からホモだと思われる、というものだった。私もかつて、ようやく巡り会った (?)おしゃれな彼氏を交えてグループで食事をしていたら(私という相手がいることをまだその時点で知らなかった)とある女の子が「○○さんって、ゲイなんですかぁ?」と真顔で訊ねたことがあった。

とはいえ、男性諸君だって、ゲイだと思われたくないという理由だけでお洒落を否定しているわけではない。根っから興味ないんである。

最近、タイム誌でこんな記事があった。「アメリカの男性は、女性の半額分しかおしゃれにお金をつぎ込まない。不況の兆しと、オフィス着のカジュアル化が進んだので、ますます高級スーツが売れなくなっている。」という内容だった。

“Given that most men don’t buy new clothes until the ones they have are irredeemably stained or torn, how do retailers get them to acquire more khakis and button-down shirts when they already have several in their closet? In effect, by throwing in the towel.”

「ほとんどの男性は、既に持っている服が、もうどうしようもないほどシミだらけか、繕えないぐらいボロボロになるまで、新しい服を買おうとしない状況で、アパレル業はどうやってタンスにあるのと同じ様なボタンダウンのシャツやカーキズボンを買わせようというのか? 早い話が、もうあきらめたのだ。」

とある。どーせ新しい服を買わせるのはムリなんだと、お手上げ状態。ならせめて、シワのよらない新素材のシャツや、シミの付かない防水加工のカーキ、ウェストが伸縮できるズボンを作ろう、ということになったんだそうだ。

アメリカの男性がお金をつぎ込むモノといえば、そう、車や、時計や、パソコンや、ワイドスクリーンのテレビなど、「gadget系」、つまり「キカイもの」だ。だから、その男心をくすぐるには「最新のテクノロジーを搭載したシャツだよ〜ん」「シミも付かない、シワにもならない、さらにおしゃれに無関心でも大丈夫なズボンだよ〜ん」「心おきなくお腹いっぱい食べても平気だよ〜ん」というアプローチ。

というわけで、おっされーな男性と巡り会いたいという女性は、日本に留まるか、ヨーロッパに行くべし。ここには滅多にいやしないから。

written by Lingual

ニューヨークと東京を往復する文芸エージェント。 日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。
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